昔、沸騰状態を保つことは難しい作業でした。沸騰しているところに麺を入れると泡が発生し、吹きこぼれてしまうからです。
吹きこぼれはなぜ起きるのでしょうか。麺をゆでると麺に含まれるデンプンが溶け出します。そのデンプンが核となって、泡ができるのです。その泡はデンプンの膜によって壊れにくいので、気泡の数が増えるとかさが増し、それが鍋から溢れてしまいます。
吹きこぼれを防ぐには「火を弱める」のがいちばん簡単です。昔の料理本では「差し水」(びっくり水)を加えて温度を下げる工夫が紹介されています。しかし、差し水をすると温度が下がるので、麺の食味は確実に落ちるので避けましょう。
差し水は熱源が薪だった時代の名残で、火力調整が容易なガスコンロやIHで麺をゆでるときには必要のないテクニックです。
吹きこぼれないくらいの火加減を保ち、麺がゆで上がったらザルなどで水を切ります。
調味料は麺が温かいうちに絡める
温かいうちに調味料に絡めます。ここからはスピード勝負です。
さっくりと麺を和えます。長ネギを散らせば出来上がりです。塩味、うま味、ラードでバランスをとっているので麺料理として成立しています。食べる時に好みで酢を振ってもいいでしょう。
卵の黄身を落としてもコクが出ます。ラードの代わりにネギ油を使うと一味違った印象になりますし、冷たい和え麺にしたい場合は油の種類をラードからごま油に変えます。
ラーメンや和えそばの構造を理解すれば、応用は自由自在。基本を理解したら応用に挑戦するのもいいでしょう。ただ、お酒を飲んだ後の締めにはかえってこのシンプルさがうれしいもの。
麺が伸びないうちに食べましょう。
(写真はすべて筆者撮影)
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