「奨学金560万円」借りた男性が“後悔してること" マイホームや車を購入して「時間の価値」を痛感

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だから、母にしてみれば大学に入ってバイトに4年間明け暮れるよりも、奨学金を借りることで『とりあえず卒業はしたけど、あとはよく覚えてない』というような、学生生活にだけはならないでほしいと思っていたのでしょうね」

気になる返済生活は?

これまでに紹介した事例とはかなり違う、奨学金の使い方をした有本さんだが、就職活動はつつがなく終了。卒業後は、誰もがその名を知る大企業に新卒で入社する。

働き始めて半年後には、毎月2万6000円の返済が始まったが、「返済は全然苦ではなかった」そうだ。

「給料が入る普段使いの口座と、奨学金の支払い用の口座の2つを準備して、給料がそれぞれに振り込まれるように設定していました。勝手に毎月振り込まれるので、滞納することもありません。

奨学金の返済を差し引くと、自分の手元に入るのは15〜16万円程度。月々の給料は低いですが、ボーナスの比率が高い会社だったこと、社員寮に入っていたこともあって、とくに切り詰める生活をしなくても、返済は続けられましたね」

そして、社会人5年目を迎えた頃に、投資用の不動産を購入したという。

「友人の紹介で購入しました。頭金は10万円だけで、諸費用を含めるとオーバーローン(編集者註:住宅を購入したり注文住宅を建てたりする際、物件の価格以上の融資を受けること)です」

その後、有本さんは新卒入社した会社を退職。転職を経て、結婚し、都内にマイホームを35年のフルローンで購入した。また、車も購入。これも頭金は半分だけで、残り半分はローンだったという。

これらのローンを経て、有本さんの胸に浮かんだのは「もっと奨学金を借りておいてもよかったのかもな」という、ある種の後悔だった。

「不動産投資のローンとなると金利は3%近くで、車も同じく3%ぐらいですよね。持ち家のローンも、昔と比較すると安いとされる時代ですが、私の場合、それでも0.6%という数値です。

一方で、私の奨学金(第二種)の金利は0.01%~0.2%程度です。20年というスパンでも、利息は数万円にしかならないんです」

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