「サッカー人気停滞」W杯出場でも楽観できぬ事情 協会収支逼迫、放映権、選手固定傾向などの懸念も
3月24日夜に行われた2022年カタールワールドカップ(W杯)アジア最終予選・オーストラリア戦。0-0のまま迎えた終盤、日本代表の森保一監督は原口元気(ウニオン・ベルリン)と三笘薫(サン・ジロワーズ)の2枚替えに踏み切り、守備の強度を上げると同時に、ここ一番で点を取って勝ち切るという勇気ある采配に打って出た。
「失点だけはしたくなかったので、そこは意識しつつ、あまりリスクを冒したくなかったんで、攻守のバランスを考えてプレーをしようと考えて入りました」と4年前のロシアW杯ベルギー戦で「ロストフの悲劇」を体験した生き証人・原口は言う。
そこで攻撃姿勢を捨てないのが今の日本だ。後半44分、その原口のパス出しから値千金の先制弾が生まれる。右サイドを上がった山根視来(川崎)がゴール前に入った元同僚・守田英正(サンタクララ)とのワンツーからペナルティエリアの深いところまで侵入。マイナスクロスを上げた。
ここに飛び込んだのが、入ったばかりの三笘。「コースは見えていた」という彼は右足を一閃。敵のゴールにシュートを突き刺す。次の瞬間、森保一監督らベンチは歓喜に包まれる。後半ロスタイムの三笘の2点目も生まれ、日本は敵地未勝利だった宿敵を2-0で撃破した。最終予選序盤3戦2敗という絶体絶命の状況からはい上がり、とうとう7大会連続出場を決めたのである。
「W杯ベスト8入り」の高い壁
一時は「自分がダメなら早く代えてもらったほうがいい」と協会関係者に申し出た指揮官もノルマを果たし、安堵感に包まれたのだ。
ここから彼らは長年の悲願である「W杯ベスト8入り」の大目標を果たすべく、11月までの限られた強化期間を有効活用していくことになる。2002年日韓・2010年南アフリカ、2018年ロシアと過去2回16強には到達しているが、あと一歩ところで高い壁に跳ね返されている。
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