「サッカー人気停滞」W杯出場でも楽観できぬ事情 協会収支逼迫、放映権、選手固定傾向などの懸念も

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実際、昨今は学校体育でサッカーを選ばない学校が増えているという。手を使ったタグラグビーのほうがやりやすいと考える指導教員が多くなっていて、協会は危機感を抱いている。この動きに歯止めをかけるため、「JFA小学校体育サポート研修会」実施校の募集をスタートさせるなど、草の根を広げる努力を続けているが、少子化もあって先行きが安泰とは到底、言い切れないのだ。

そんな背景もあり、日本代表はカタールW杯で成功を収めることが強く求められている。万が一、2006年ドイツ大会や2014年ブラジル大会のように1次リーグで惨敗してしまうと、サッカー離れが加速してしまう懸念もある。

森保監督や長友、吉田といったベテラン勢はそういった現状をよくわかっているから、メディアやSNSを通した発信に熱心で、積極的にインタビューにも応じてくれるが、若い世代もよりその意識を高める必要がありそうだ。ピッチ上でいいプレーを見せるのは当然だが、サッカー選手がアスリートとしても人間としても魅力的でなければ、子どもたちの心には響かないだろう。

8強というハードルを超えるカギ

最終予選最大の転機となった昨年10月のオーストラリア戦(埼玉)で殊勲の先制弾を挙げた若手のホープ・田中碧(デュッセルドルフ)が「小さい子どもたちが自分たちがW杯に出ている試合を見られるように、必ず勝って次につなげたいと思っていた」と熱く語ったが、そういう思いを前面に押し出して、全員がガムシャラに大舞台に向かっていけば、長年足踏みしてきた8強というハードルをきっと超えられるはず。そう仕向けていかなければいけない。

2010・2014・2018年と3つのW杯で4ゴールという離れ業をやってのけた本田圭佑を見てもわかるとおり、最後はやはりメンタルだ。「W杯のためにサッカーをやってきた」というくらいの闘争心と勝利への渇望を何人の選手が示せるのか。それが成否の分かれ目になる。ここからラスト8カ月間の熾烈なサバイバルと森保監督のマネージメントをこちらも熱い気持ちで見続けていきたい。

元川 悦子 サッカージャーナリスト

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もとかわ えつこ / Etsuko Motokawa

1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、1994年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。著書に『U-22』(小学館)、『初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅』『「いじらない」育て方 親とコーチが語る遠藤保仁』(ともにNHK出版)、『黄金世代』(スキージャーナル)、『僕らがサッカーボーイズだった頃』シリーズ(カンゼン)ほか。

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