うつ社員をあぶり出す?国の新制度への懸念 「ストレスチェック」が年内に義務化へ

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そもそも本制度を実施した場合、今まで健康と思っていて自覚していなかった労働者や、自分はどうなのか多少不安のあった労働者でも高ストレス状態であることが判明した場合、受け入れる医療機関は足りているのか。

医療費削減の狙いと相反する?

厚生労働省発表の「平成21年地域保健医療基礎統計」では、「精神科」「心療内科」が急増しており、特に「メンタルクリニック」等と名乗る一般診療所の数は、1996~2008年までの12年間で、「精神科」は約2倍、「心療内科」は約6倍にも増えている。本制度開始に伴い、高ストレス状態と判断された労働者を大量に受け入れた場合、実施の目的の一つと推測する医療費削減に相反する事象になりかねない。

国と事業所は、「ストレスチェックの目的は、一次予防のためであり、うつ病を含む精神疾患のためのあぶり出しではないこと」「性格検査や適性検査を目的とし、リストラの対象にすることが目的ではないこと」をきちんと明示していかなければならない。このストレスチェック義務化の具体的な運用方法は、今後の厚生労働省令、指針などで明示されるはずなので、それを待つことにしたい。
 

坂上 隆之 ストレス対処コンサルタント

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さかうえ たかゆき / Sakaue Takayuki

国立大学卒業後、大手電機メーカー(NEC)に20年間勤務。技術部門の予算編成、損益管理、コールセンター運営、PC修理部品納品マネジャーなどを経験し、品質社長賞を受賞したプロジェクトチームも牽引。2013年に独立。行政書士としてさまざまな相談に応じるほか、企業時代にコミュニケーションの必要性を痛感したみずからの経験を活かし、技術部門へ向けた「コミュニケーション、ストレス対処、効率的学習法」にスポットを当てた「誰でも短期間で本来の実力を発揮できること」を特徴とする「コーピング技術」を活用した研修、人材育成を行っている。

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