インフルエンザの治療法が続々登場、新薬の実力

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 「点滴薬(静脈注射)のラピアクタは経口投与や吸入による治療ができない患者にとって、確実に投与できるというメリットがある。イナビルは1回の投与で効果が持続するという点で優れている」(渡辺教授)

「タミフルやリレンザは使用実績が豊富なことに加え、新型インフルエンザ治療でも威力を発揮した。これに対してラピアクタとイナビルは、承認されている主要国が日本のみということを踏まえても、安全性や有効性に注意を払いながら使うべき。イナビルについては、投与が1回で済むことが『便利だ』と受け止められるのか、あるいは吸入がうまくいかなかった場合の不安を感じる人が多くなるのか、見極める必要がある」(菅谷医師)

タミフルやリレンザは5日間、服薬を続ける必要がある。ウイルスが残存しているうちに治療をやめた場合、周囲に感染を広げたり、再び悪化する可能性もあるためだ。

国立感染症研究所の調べによれば、昨年12月に入って新型インフルエンザの検出が急増。A香港型を逆転した。「今冬の流行は季節性インフルエンザが主流」との見方と異なる様相を見せ始めている。正確な知識を持ち、適切に行動することが重症化を防ぐためにも不可欠だ。

(岡田広行 =週刊東洋経済2011年1月15日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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