【産業天気図・損害保険】主力の自動車保険の低迷に損害率上昇の逆風、「雨」止まぬ厳しい経営環境

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 損保業界はいわゆる”製販分離”であり、損保会社が販売代理店に商品を供給して、代理店はその販売手数料で経営を成り立たせている。その代理店の中にも、いわゆる損保一社だけと販売委託契約している専業代理店と、複数の損保会社と契約している乗り合い代理店がある。もちろん、一社専属のほうが手数料の取り分が多いが、乗り合い代理店のほうは、複数社の商品を選んで販売できるというメリットがある。

大手損保各社は、専業代理店を中心に再編を推進、代理店の大型化を進め、一代理店あたりの募集人数を増やすことで、営業だけでなく事故対応などのサービス体制を強化、さらにシステム投資と連動して事務の効率化を図ろうしている。その結果として、募集人数は増えているのに、代理店数は6割も減少している。

こうした代理店大型化の流れは、効率化だけが狙いではない。ジリ貧の損保マーケットにしがみついていても収入保険料の拡大は図れなければ、生き残れない。それは代理店にとっても同じだ。そこで、生保商品も積極的に販売して収入を増やそうというのも、大きな狙いだ。つまり、代理店の損保既契約者に対して、生保商品も含めた総合保険コンサルティング力を強化することで保険の多種目販売を拡大していこうというわけだ。

大手損保グループには生保子会社がある。東京海上日動あんしん生命など損保系生保はここ数年で生保業界でも大きな実績を重ね、シェアを獲得してきたが、今回の3メガ再編でMSADグループの三井住友海上きらめき生命とあいおい生命が、またNKSJグループの損保ジャパンひまわり生命と日本興亜生命が11年10月に合併する予定にあり、それぞれグループの生保事業を強化し、生保の保険料収入を拡大していこうとしている。
(木村 秀哉=東洋経済オンライン)

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