【産業天気図・損害保険】主力の自動車保険の低迷に損害率上昇の逆風、「雨」止まぬ厳しい経営環境

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 自然災害、再保険、円高、金融保証、株式売却など各グループごとに異なる事情があるものの、共通して厳しさを増してきているのが主力の自動車保険である。国内の自動車保険マーケットは年々縮小傾向にある。背景には、少子高齢化の中で、特に若者の車離れがある。さらに不景気による自動車販売の低迷、環境問題を背景に低燃費の小型車へのシフトもある。自動車保険の正味収入保険料はジリ貧傾向が続いているが、特にこの3年間は連続して減少。一方で、高齢者の事故率アップという逆風も吹き始めている。日本損害保険協会の統計によると、自動車保険の損害率は1995年度に59.1%だったが、毎年ほぼ一貫して上昇、2009年度は70.4%にまで達している。特に不払い問題が発覚してから、各社とも支払い体制の見直しなどを行ってきたこともあるが、この3年間では約5%も上昇している。

損保会社の収益は資産運用を除けば、正味収入保険料(再保険分を除いた収入保険料)に占める事業費率と損害率で決まる。損保会社の経営指標の一つに、コンバインドレシオがある。これは正味損害率と正味事業費率を合算したもので、国内大手損保の自動車保険のコンバインドレシオは、ほとんど100%を超えている。つまり、収入よりも支出が多い赤字ということである。

損害率の上昇は、保険料率(価格)を引き上げて収入保険料を増やすか、事業費を削減することでしか、吸収できない。しかし、ただでさえ競争が激しい中で、安易な料率改定(値上げ)は顧客離れを加速しかねない。大手損保間の競争だけでなく、安さを売り物にしているダイレクト系損保との競争があるからだ。となれば、事業費をどう削減するかが、大きな課題となっている。

こうした損保マーケット縮小の中で、事業費削減へ経営統合によるシステム投資の負担軽減と同時に、事業の効率化へ向けて、代理店網の再編も並行して行われている。

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