【産業天気図・損害保険】主力の自動車保険の低迷に損害率上昇の逆風、「雨」止まぬ厳しい経営環境

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10年10月~11年3月 11年4月~9月

損害保険業界は2011年9月まで終始「雨」の厳しい景況感が続く見通しだ。3メガグループ体制が始動したが、各陣営とも主力の自動車保険がふるわない。

損保業界は、10年4月から3メガ体制となり、うち2グループは初めての中間決算を発表した。三井住友海上、あいおい損保、ニッセイ同和損保が経営統合したMSADインシュアランスグループ(以下MSAD)は三井住友海上の正味収入保険料が前年同期比2.5%増となったほか、あいおい損保が2.4%増、ニッセイ同和がマイナス2.6%、単純合算ベースで2%増だった。しかし、経常利益では三井住友海上が39%減となるなど、主要3社が軒並み2ケタ減益となった。

NKSJグループ(以下NKSJ)の損保ジャパンも正味収入保険料が0.3%増と堅調だったが、経常利益ベースでは21.9%減、また日本興亜損保は正味収入保険料がマイナス1%だったのに対して経常利益は34%減と同じく大幅減益となった。東京海上グループは正味収入保険料がマイナス0.7%だが、経常利益は41.6%増と大幅増益となった。

一方、通期予想では期初見込んでいた自然災害(MSAD280億円、NKSJ380億円、東京海上250億円)が予想よりも大幅に減少、各グループとも数十億円程度に減少するため、増額含みとなっている。また東京海上は前期好調だった再保険が反動減、海外現地法人は現地通貨ベースでは堅調だが、円高による目減りなどもあり、下期は大きく減速する。NKSJは金融保証の支払い保険料回収が想定以上に進んだことが上期の増益要因にもなっている。各グループとも政策投資株式の売却も計画しており、株式相場の環境次第では売却益が下期の利益を押し上げる要因として考えられる。

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