長引く胃の不調、その影に潜む病気とは? 胃薬を飲んでも改善しないなら要注意

✎ 1〜 ✎ 21 ✎ 22 ✎ 23 ✎ 最新
拡大
縮小
仕事がたまったり、飲みすぎで胃に負担がかかっていないか?もし、なかなか治らないようなら、医療機関へ(imasia)

胃薬を飲んでも、改善しなかったら?

年末が近づくにつれ、仕事の追い込みに拍車がかかり、疲労だけでなくストレスもたまりやすい。そのため、胃の不調を抱えてしまいがちだ。

もし市販薬を飲んで、胃痛や胃もたれなどの不快な症状が治れば良いのだが、再び症状がぶり返し調子は悪いまま。原因ともいうべき、仕事のストレスを抱え続けているため、胃薬を飲んでも改善しないこともある。しかし、長引く胃の不調の影に、別の病気が潜む可能性もあるのでご用心。

国立がん研究センター中央病院肝胆膵内科の奥坂拓志科長が警鐘を鳴らす。

「胃の症状は、必ずしも胃に関わる病気だけで起こるわけではありません。胃の裏側にある膵臓(すいぞう)に、がんが生じても、胃の症状を感じることがあるのです。膵がんは、早期の段階で自覚症状に乏しく、進行した状態で発見されることが多いがんといえます。

だからこそ、ちょっとした自覚症状を見逃さないでいただきたいのです。ただし、胃の内視鏡(胃カメラ)検査では、膵臓の状態を知ることはできません。『ストレスによる胃炎』と診断されて、薬を飲んでも症状が長引くようならば、一度は、胃以外の臓器の病気も疑って検査を受けることをお勧めします」

膵臓は、消化液を十二指腸に出すなどの役割を担っている。アルコールの飲み過ぎなどで、膵臓に炎症を起こす「急性膵炎」は、激烈な腹痛などの症状を伴うのだが、膵がんは静かに進行する。その異変のひとつのサインが、胃のあたりの長引く不調。膵臓の不調を胃の異常と感じることが多いからだ。ところが、そのような場合に胃の検査を受けると、胃炎や胃潰瘍などの胃の病気が実際に見つかることもあるだけに、膵がんの発見が遅れがちになるという。

次ページ膵がんや胆道がんに注意
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT