膵がんか否かは、血液検査、腹部超音波検査、CT(コンピュータ断層撮影)検査といった画像診断でわかるそうだ。しかし、ビジネスマンは多忙なだけでなく、ストレスによる胃の不調も抱えがち。「まさか別の病気が隠れているかも」とは考えにくい。
実際、不調の原因が胃である人も多いため、医療機関でも、最初から膵臓の検査を積極的に勧めることは少ないという。結果として、1度は胃カメラ検査を受けたものの、「薬が効かない」状態で数カ月を過ごし、体重減少など著しい異変によって再検査を受け、膵がんと初めて診断される人もいる。
「膵がんは、一般的に年齢が上がるにつれて発症リスクが高くなります。ただし、膵がんの患者数は増加傾向にあるため、最近では30代や40代でも珍しいことではありません。患者さんにとっては、なかなか早期に発見してもらえないがんといえます。胃の不快感を抱えたまま、半年経って膵がんと診断されたときには、がんが進行している人が少なくないのです。胃の不調の影に、発見しづらいがんも潜むケースがあることを、ぜひ覚えておいていただきたいと思います」(奥坂科長)
もうひとつ、発見されづらいがんとしては、胆道がんもある。胆汁が流れる胆管に生じるがんで、2014年1月、女優の川島なお美さんが手術を受けたと報じられた肝内胆管がんも、胆道がんの一種。
一般的に、がんによって胆管が塞がって胆汁が流れなくなると、白目が黄色くなるといった黄疸(おうだん)や尿が濃くなる、便が白っぽくなるなどの症状が現われるそうだ。
「胆道がんは、胆管の内側にがんが広がり胆汁の流れを止めると、黄疸という症状が出ます。しかし、胆管の壁にそって胆管の外側にがんが広がっていると、症状が出にくいのです。胆道がんは日本人に多い疾患なのですが、便が白っぽくなる、尿の色が濃くなるといった症状が出ない場合も少なくないので、発見が難しい病気といえます。人間ドックなどで、超音波検査や血液検査などを定期的に受けることも大切です」(同)
多忙でも不調を感じたら、直ちに医療機関へ
国内のがん死因で、膵がんは第4位、胆道がんは第6位となっている。「胃が変だ」などのちょっとした症状を見逃さないようにするのは重要だが、予防法はないのだろうか。
「残念ながら、膵がんも胆道がんも、原因ははっきりわかっていません。膵がんについては喫煙、胆道がんについては他の胆道疾患などがリスク要因として、関連が指摘されています。しかし、まだ明らかになっていない要因が他にも複数、存在すると考えられているのです」(同)
胆道がんとの関連はまだ十分ではないが、喫煙は避けた方が無難といえそうだ。喫煙は膵がんをはじめ、ほとんどのがんのリスクを高めるとされている。しかし、たばこを吸っていなくても、膵がんや胆道がんになっている人はいるだけに、予防は難しい。長引く自覚症状を放置せずに、なるべく早期の段階で発見することがなによりといえる。
胃の不調だなと思ったときに、『いつもとちょっと感じが違う』『いつまでたっても改善しない』といった体調の変化を感じたら、早めに医療機関を受診していただきたいと思います。年末年始は忙しく、病院へ行く機会を作りにくいとは思いますが、あまり先延ばしにはせずに、ご自身の身体をチェックしていただきたいと思います」と奥坂科長はアドバイスする。
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