電気防食工法で先行する住友大阪セメントの狙い


 電気防食した部分は鉄筋がきれいに残っている(下囲み写真)が、電気防食をしないで海風にさらされ続けた部分の鉄筋はさびが進み、鉄筋がほぼ消えていた(同)。利点は、塩害に強いこと。鉄筋コンクリート構造物にひび割れが生じ塩分が入っても、さびを防げることにある。

横浜市にある大黒大橋も1998年に塩害により鉄筋コンクリートの劣化が進んだことから、長寿命化の補修工事として電気防食が施工された。東京近郊では中川大橋(東京都江東区)、大磯橋(神奈川県大磯町)、金破橋(神奈川県二宮町)など海岸に近い橋梁に施工されている。

コンクリートに塩分が入ったり、中性化、酸性化してもさびを防ぐという優れものの電気防食だが、難点がある。施工費が高くなることだ。チタン製メッシュという高価な材料を使用することと、メッシュの結線工事に人手がかかることから、通常の鉄筋コンクリート構造物の施工費より、30~40%高いという。

長持ちするため長期のランニングコストは低くなるとはいえ、初期の建築コストが重視されるマンションなど民間建築には採用されず、現状での採用は橋梁、埠頭など公共関連の鉄筋コンクリート構造物の補修工事がほとんどである。

電気防食の施工実績は年間約1万平方メートル程度。住友大阪セメントとしては、社会資本の長寿命化政策を追い風に、今後の普及に弾みをつけられるかが勝負だ。

(内田通夫 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済2010年12月18日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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