電気防食工法で先行する住友大阪セメントの狙い
住友大阪セメントは橋梁の補修・補強について多くの工法を提供しているが、その中で注目されるのが、鉄筋コンクリート構造物のさびの進行を防ぐ、電気化学的防食工法(以下、電気防食)だ。米国で開発された工法だが、住友大阪セメントが正極材料を改良するなど普及に力を入れたことから、国内で約70%の市場占有率(施工実績)を持つ。
塩害に強い電気防食 難点は施工コスト
沖縄県浦添市の海岸に住友大阪セメントの電気防食実験場がある。海岸まで10メートル足らずの場所に、高さ5メートルの生コン工場の鉄筋コンクリート構造物の塀がある。20年前、すでに築20年が経過した塀に、部分的に電気防食の実験を行った。チタン製メッシュを鉄筋コンクリート構造物に埋め込み、これを正極材料(プラス側)にする。正極材料から直流3ボルトの電流を負極(マイナス側)の鉄筋に常時流す。正極材料から出る防食電流で、鉄筋から出る腐食電流を打ち消し、さびを防ぐ仕組みである。
「鉄は自然の状態である酸化鉄に絶えず戻ろうとする。その過程でさびの原因になる腐食電流(電子イオン)を流す。その腐食電流を消すための防食電流を流し、電位差を消し、さびを防ぐ」(住友大阪セメント)仕組みである。電源は市販の直流電源装置を家庭用の100ボルトにつなぐだけ。至って簡単である。