【産業天気図・パルプ・紙】想定上回る需要減と円高進行、業界各社は“我慢比べ”にどこまで耐えられるか
10年10月~11年3月 | 11年4月~9月 |
製紙業界の上空を覆う雲に厚みが増してきた。2010年10月から11年9月まで、景況感は終始「曇り」止まり。家電エコポイントなどの各種消費奨励策の剥落が紙需要にも波及、さらに円高も痛手だ。
10年初から改善基調にあった紙需要が再び怪しげな動きを見せ始めている。紙と板紙を合わせた10月の国内出荷は前年同期比2.5%減となり、11カ月ぶりにマイナスに落ち込んだ。このうち洋紙は一足早く春すぎから変調を来たしていたが、猛暑効果もあり比較的しっかりした足取りだった板紙までもが、この10月には1.9%減と1年ぶりにマイナスに転じた。9月いっぱいでエコカー補助金効果が剥落、12月からは家電エコポイント効果も削げ落ちるとなれば、一時的な落ち込みで済むとは考えにくい。
板紙2位、段ボールで首位のレンゴーは今年、こうした特需効果を最も享受した1社だ。今期は売り上げ増効果で、原材料高や償却増をこなし前期並みの経常利益を維持する見通しだ。が、そのレンゴーさえも、11月まで設備能力の10~15%だった減産幅を12月から11年1月にかけて25%に引き上げることを決めた。在庫の増加と値下がりを防ぐのが狙いだが、年末商戦が一巡する1~3月は例年段ボールの端境期となるため、これで落ち着くと見る業界関係者は少ない。
洋紙需要の変調は板紙の比ではない。洋紙最大手の日本製紙グループは、原燃料価格の上昇により会社側計画ではもともと減益計画だったが、想定以上の需要減退とそれに伴う販売価格の下落で業績見通しさらに下方修正した。