【産業天気図・パルプ・紙】想定上回る需要減と円高進行、業界各社は“我慢比べ”にどこまで耐えられるか

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 誤算は需要だけではない。急激な円高だ。折も折、製紙業界は国内需要の穴埋めを狙って輸出ドライブをかけている。原料チップやパルプを海外から輸入する製紙業界は、株式市場でも円高好感株の代表格とされるなど円高は追い風のはず。が、最近はそう単純な構造ではない。

製紙連合会によると紙・板紙の輸出はアジアや豪州向けを中心に8月まで12カ月連続で2ケタないし倍増ペースで拡大。ところが円相場が1ドル85円を突破した8月から伸び率が一気に鈍化し、9月、10月は一転して2カ月連続でマイナスに転じた。日本製紙は9月以降、中国国内での在庫調整の遅れもあって、アジア向けの輸出そのものを停止。比較的需要の強い欧米や豪州では、輸出採算の改善に向け価格修正に動き出した。

足元では円高も一服傾向だが、いつまた動き出さないとも限らない。国内需要減退に我慢しきれず安売りに動けば地獄、円高を嫌って輸出を減らせば固定費負担がのしかかる。減産に減産を重ねた業界の我慢比べは、そろそろ限界に近づいている。 
(山本 隆行=東洋経済オンライン)

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