住友金属鉱山、非鉄メジャーへの試金石、本番迎えた海外鉱山経営《新「本業」で稼ぐ》

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 他社からは、「住友のように海外鉱山開発をもっと強化したい」との本音も漏れる。それは新興国の需要拡大や投資マネーの流入によって、国際的な金属価格が高騰、鉱山権益を確保するうまみが増しているからだ。BHPビリトン(豪)やリオ・ティント(豪・英)といった世界的な資源メジャーは、数兆円規模の売上高に対して1割近くの純利益率を確保。「鉱山開発は利益率が1ケタ違うほど儲かる」(谷口氏)。

ただ、他社にとってのネックは資金力と人材である。住友鉱山の10年3月期の自己資本比率は約60%と、三井金属の27%、三菱マテリアルの19%などライバルを圧倒。財務内容の差が、非鉄メジャー入り宣言の裏打ちの一つとなっている。

もう一つのネックである人材も、他社では十分に鉱山技術が継承されていないが、住友鉱山は違う。それを可能にしたのが国内で唯一残る金属鉱山、菱刈の存在だった。

鉱山関連の若手社員はまずここに配属され、新規の鉱脈を探す「探鉱」、鉱脈を掘り進む「採鉱」、鉱石から有用な鉱物を分離回収する「選鉱」などの専門技術を身に付け、鉱山業とは何かを学ぶ。

同社資源事業本部の狭川義弘氏も入社以来、菱刈で10年近くを過ごした。「私も菱刈があったから住友を選んだ。現場があるかどうかは鉱山技術者にとっては大きな問題」と振り返る。

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ただ、住友が非鉄メジャー入りを目指すといっても、資源メジャーとはまだ力の差がある。資金面だけでなく、鉱山現場をマネジメントできる人材がまだ十分とはいえない。住友鉱山はすでに開発している他社鉱山への部分出資と合わせ、自前での鉱山経営を手掛け、差を埋める施策を着々と進めている。


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