住友金属鉱山、非鉄メジャーへの試金石、本番迎えた海外鉱山経営《新「本業」で稼ぐ》

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 しかし、1970年代に入り、国内の銅鉱山はしだいに鉱石量の枯渇と品位の低下に悩まされた。別子銅山は73年に閉山。そのほかの鉱山も続々と閉山に追い込まれ、鉱山技術者の活躍の場も失われてしまった。

その後、国内の非鉄各社は鉱石を海外鉱山からの輸入に頼るようになり、国内で製錬して地金にして販売する「買鉱製錬型(カスタムスメルター)」事業が主流となる。

住友鉱山も米国、豪州、チリ、ペルーなど海外の鉱山に次々と資本参加。しかし、近年は海外の資源メジャーの合従連衡により、国内の非鉄会社は、鉱山側との原料価格交渉で苦戦するケースが目立ってきた。また中国や資源メジャーが海外の鉱山権益の買収を進め、鉱石の安定調達の難易度も増してきている。「製錬業だけで生き残るのは厳しくなってきた」(阿部専務)。

こうした環境下で、非鉄会社の多くが電子材料など、より川下の事業に注力しているほか、古河機械金属のように鉱山開発の機械に力を入れたり、DOWAホールディングスのように携帯電話などから貴金属を回収する事業を手掛けたりと、非鉄各社のビジネスモデルは多様化している。

住友鉱山は2004年にペルーの銅鉱山、ニューカレドニアのニッケル事業へ資本参加、05年にチリの銅鉱山へ資本参加するなど、資源ビジネスを本格化。現在も年間40億円を探鉱費用に充てており、「資源開発案件への参入は年間15~20件を目指して交渉している」(家守社長)。従来は国内への鉱石の海上輸送を視野に入れ、太平洋沿岸の開発が中心だったが、今ではそれ以外のエリアも対象に鉱山開発案件を物色中だ。


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