住友金属鉱山、非鉄メジャーへの試金石、本番迎えた海外鉱山経営《新「本業」で稼ぐ》

住友金属鉱山、非鉄メジャーへの試金石、本番迎えた海外鉱山経営《新「本業」で稼ぐ》

鹿児島県北部に位置する伊佐市菱刈地区。ここに住友金属鉱山(住友鉱山)の菱刈鉱山がある。年間7・5トンの産出量を誇る国内最大の金鉱山であり、鉱石1トン中に40グラムの金を含む高品位の鉱山として知られる。

ただ住友鉱山にとって菱刈は金を採掘するためだけの場所ではない。鉱山技術者の養成所でもある。ほかの非鉄金属各社は、「住友には菱刈があるからうらやましい」と口をそろえる。それは、菱刈鉱山が国内で唯一、商業規模で操業している金属鉱山だからである。

鉱山放棄の道をたどるが製練での生き残りも困難

「われわれは長期目標として非鉄メジャー入りを目指している」

家守伸正社長が公言するとおり、住友鉱山は福島孝一・前社長時代から、グローバルに展開する鉱山開発を志向してきた。

同社のコア事業は「資源・金属」と「電子・機能材」の2分野だったが、2010年2月に発表した中期計画からは「資源」「製錬」「材料」の3カテゴリーに切り替え、「資源」を主力事業の一つに位置づけた。

同社の阿部一郎・専務執行役員は、「海外の非鉄メジャーと比べると、今はまだ相撲の世界でいう前頭くらい。せめて横綱と対戦できるくらいの位置づけには上がりたい」と語る。そこで同社が試みる“横綱対策”一つが、鉱山技術の専門知識を備えた鉱山経営者の養成である。

国内の非鉄金属企業の多くは、この鉱山技術の専門家育成を怠ってきた経緯がある。資源・環境戦略設計事務所代表の谷口正次氏は、「国際的に資源需要が伸びる中、本来なら鉱山技術者を養成して世界中に派遣すべきだが、日本の非鉄会社は養成を放棄してきた」と指摘する。

日本国内に鉱山技術者がほとんど育たなかったのは、国内鉱山が戦後、閉山の歴史をたどったからである。非鉄金属ビジネスは鉱山から鉱石を調達し、金属を採り出し(製錬)、不純物を取り除いて販売するビジネス。かつては、自社が保有する国内の鉱山で鉱石を調達するのが一般的だった。鉱山のルーツはといえば、その多くが江戸や明治時代にさかのぼり、住友グループの源流事業ともいえる銅事業の発展を支えた愛媛県の別子銅山も、開坑は1600年代後半のことである。

同社社史によると、別子銅山は明治時代中頃には繁栄を極め、山中にはふもとの町よりも立派な建物が並び、鉱山労働者は2000人以上、家族を含めると1万人を超える人々が暮らしたという。

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