マンション改修の難物「窓」はこうして替えろ

効果は絶大なのに普及はなかなか進まない

しかし、2011年3月11日、わがマンションは否応なしにリフォームせざるをえない事態に直面した。東日本大震災で杉並区は震度5強の揺れに襲われ、全68世帯中26世帯、枚数にして38枚の窓ガラスがひび割れた。ほぼ3分の1の世帯に被害が及ぶという深刻な事態に見舞われたのだ。

窓ガラスがひび割れた家庭では、窓をガムテープやダンボールで応急処置している状態にあり、その修復を各区分所有者の自主判断に委ねることはできなかった。そのため、この年、ちょうど理事長をしていた私は急きょ4月3日に理事会を開催し、今後の対応策を各役員と議論した。

俎上に上がった議題は大きく2つ、「工事の内容」と「費用負担」についてだ。

前者については、(1)ひび割れたガラスのみを交換する、(2)ひび割れていない居室も含め、全世帯の窓ガラスを交換する、(3)交換する際、窓ガラスだけではなくサッシも同時に交換する、という選択肢があった。また、後者については、(1)すべて住民の自己負担で補修する、(2)一定割合を管理組合で補填する、(3)全額を管理組合が負担する、という方法が考えられた。

これら6つの選択肢を組み合わせ、ベストシナリオを見つけることが理事会の使命だった。そこで、業者に各パターンの見積もりを依頼し、5月29日に居住者向けの説明会を開催。その後、6月19日に再び理事会を開催し、説明会で出された意見や要望を整理したのち、工事費用の資金計画をさらに練り直した。こうした作業の末、7月31日、ようやく臨時総会の開催へとたどり着いた。

予定を前倒し、全戸一斉に改修

管理組合の出した答え(上程議案)は、被害のなかった世帯も含め、全世帯の窓ガラスとサッシを一体で同時交換し、さらに工事費用は全額を組合負担とする、というものだった。

かねてから窓の不具合が指摘される中、ひび割れた窓ガラスだけを交換すると、同じマンション内で共用部分である窓ガラスに、部屋によってグレードの差が生じることになる。また、ひび割れたガラスのみを補修し、サッシとの同時交換を見送った場合、経年によるサッシの劣化がさらに進行し、今後、より多くの居住者から不満が寄せられる心配があった。

費用面でも懸念材料があった。2020年度に予定している次回の大規模修繕工事の際に同時並行でサッシを交換しようとすると、多額の工事費が一時期に集中して必要となり、組合収支の圧迫につながる。区分所有者への一時金などの負担増も想定された。そのため、管理組合としては、思い切って前倒ししてしまおうと決断した。

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