マンション改修の難物「窓」はこうして替えろ 効果は絶大なのに普及はなかなか進まない

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工事総額は約2700万円(税込み)。次回の大規模修繕工事で予定していた駐車場の路盤改修工事、自転車置場の屋根のふき替えや塗装といった付帯施設の補修を2年先延ばしして約190万円を捻出するなど、修繕積立金から1500万円を拠出。残りの約1200万円をリース契約による10年間の分割払いとした。

リース会社による立て替え払いだと、銀行からの融資とは異なり、保証料や保証人、担保が不要になる。リース契約上、融資対象部分である窓ガラスとサッシは返済期間中、リース会社の所有物となるが、完済後は管理組合に所有権が移転される。リース契約とは言っても、通常の融資契約と使い勝手に違いはない。こうした管理組合向けのリースがうまく利用できたことも、改修工事の成功を後押しした。

苦心の甲斐もあり、臨時総会では多数の賛成が得られ、議案は原案通りに可決された。区分所有者にしてみれば、追加負担ゼロで新築同様の高断熱ガラスに交換してもらえるわけだから、特に反対する理由はなかったはずだ。

改修を阻害する、もう1つの難題

わがマンションで不幸中の幸いだったのは、震災というやむを得ない事情が合意形成を後押しした点だ。窓改修の普及を阻害する二つ目の要因として、建診協の山口氏は「窓をめぐる法解釈の問題」を指摘する。

週刊東洋経済2014年12月6日号(12/1発売)の特集は「マンション防災修繕管理 完全マニュアル」です。大地震は間違いなく起きる。多くの住民が住むマンションは自助、共助のバランスで災害対応力を高めるのが大切。最前線を追いました。

専有部と混同しがちだが、区分所有法上、窓は共用部に当たる。その改修は同法の規定により、区分所有者の4分の3以上の同意を得てから実施する必要がある。そのハードルは決して低くない。

国土交通省が定める「マンション標準管理規約」は2004年に、住宅の性能を引き上げる窓改修の場合、管理組合で細則を定めれば、各住民の責任と負担で改修できる、と改正された。ただ、山口氏によれば、多くの管理組合がこの改正を認識しておらず、「窓改修は難しい」との固定観念が根強く残っているのだという。

細則の改正には区分所有者の過半数の賛成が必要で、ハードルが格段に下がったわけではない。それでも、長年すき間風にお悩みの読者にとって、融資スキームや制度設計の変更は少なからぬ追い風となろう。

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