マンション改修の難物「窓」はこうして替えろ 効果は絶大なのに普及はなかなか進まない
マンションの居住性を高めるための改修工事は多岐にわたる。その中でも、窓は住戸内の環境に大きな影響を与える。私の住む「日商岩井第2方南町マンション」(東京都杉並区)では、全戸一斉に窓を改修した3年前から、結露に悩むことがなくなり、暖かい冬を過ごせるようになった。
このマンションが竣工したのは1974年。今年で2度目の成人式(築40年)を迎えたのだが、これまでは強風が吹くとサッシがガタガタと音をたてて揺れ、冬には密閉性の悪さから冷たいすきま風が室内に入ってきた。ガラスは単板のため断熱性は低く、暖房をフル回転させても室内全体が温まらなかった。
完成当時としては高性能を有していたのだろうが、時間の経過に伴う機能の劣化は避けて通れなかった。一般的な住宅の場合、冬は室内の熱の5割が窓から屋外に逃げる。逆に、夏は屋外から入り込む熱の7割が窓を経由する。そのため、東京都内の集合住宅の場合、窓を高断熱のものに替えれば、年1万7000万円の冷暖房費が節約できる。
普及を阻害する高額の改修費用
とはいえ、その効果とは裏腹に、「マンションにおける窓の改修はそれほど普及していない」(建物診断設計事業協同組合の山口実理事長)。ネックは「窓改修に伴う負担」だ。
わがマンションでも、時間の経過とともに居住者から窓とサッシを交換したいという要望が増えてきた。そこで、理事会で議論を重ね、住民に対してアンケートも取ってみた。ところが、ふたを開けてみるとリフォーム希望者は数件しかなかった。窓とサッシをすべて交換した場合、2DKタイプで工事費は1世帯あたり20万円以上かかる。費用対効果を考えると、そこまで負担してリフォームしたいという居住者は少数派だった。
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