データでは「売れない」ファブリーズ大成功の理由 消臭芳香剤市場を2倍にした商品の意外な真実
「どうすれば、なかなか市場に浸透することができない『ファブリーズ』が売れるようになるのか、どうすれば習慣化するのか」を調べるという目的を掲げ、リサーチをデザインした。そこで試されたのが、ファブリーズのヘビーユーザーの「お宅訪問インタビュー」であった。
テストマーケットの地域においてファブリーズの売れ行きはまったくといっていいほど伸び悩んでおり、認知率も購入経験者もなかなか伸びず苦戦してはいた。
ヘビーユーザーは「消臭」で使っていなかった
しかし、そんな中でもファブリーズを1カ月に3本以上購入して使っているというヘビーユーザーと呼べる少数の方々がいらっしゃることがわかった。
その方たちのお宅を訪問し、話を聞かせてもらったのである。そうすると、いろいろと驚く発見があった。
ファブリーズを開発したP&Gは、カーテンやソファや冬物のコートなどの洗濯しにくい布地の製品の臭いが気になったときに使ってもらうようファブリーズを宣伝していたのだが、ヘビーユーザーはリビングに置かれたファブリーズを掃除のついでにカーテンやソファにシュッシュッとかけていた。臭いが気になったときにではなく、毎日のルーティンの一環として使っていたのだ。
これは目から鱗であった。「臭いをとるため」と位置づけてしまうと使用シーンやアイテムが限られてしまって、結果「なくてもいいか」「あ、使うの忘れた」ということになりかねないが、毎日の掃除や帰宅のときのルーティンの一環として使ってもらえば習慣化してもらうことができ、ニーズも広がる。
これらの新しい発見を活かして、テストマーケットの地域で、さまざまな広告やプロモーションを展開し、トライアンドエラーをしていく中で、どうすれば認知や興味、関心が高まるか、また、それにはどのくらい時間がかかるかが見えてきた。
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