データでは「売れない」ファブリーズ大成功の理由 消臭芳香剤市場を2倍にした商品の意外な真実

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こうした結果を踏まえて、時間をかけて育てることを納得したうえで、日本においては全国展開に踏み切ることとなった。

その結果は大成功だった。ファブリーズの売れ行きは非常に好調で、それに伴い、ファブリーズ以外の消臭芳香剤商品も活気づけ、結果、消臭芳香剤の市場は大きく成長し、ファブリーズ発売後約10年間の間に消臭芳香剤の市場規模は約2倍以上に伸長することとなった。

優れたリサーチは世の中を変えるきっかけになる

「データ・ドリブン(データに基づいた)」の経営ということがよくいわれるが、ファブリーズの場合は、データにドライブされない(振り回されない)判断が功を奏したといえる。

私の経験の中でも、ファブリーズの開発と市場導入にかかわることができたことは非常に学びの多い特別な経験の1つであった。ファブリーズの市場導入前にリサーチ結果から導かれた販売予測は間違っていなかった。

しかし、世の中の常識を変えれば、リサーチ結果の予測を覆すほどの売り上げにつなげることができるということを経験できた。そして、「優れたリサーチをデザインすれば、世の中の常識を変えるための大きなヒントや新しい発見を獲得できる」という成功体験を享受できた。

このことが、その後の私の考え方や行動に大きな影響を及ぼした。

米田 恵美子 インサイト・ピークス代表取締役社長

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よねだ えみこ / Emiko Yoneda

インサイト・ピークス代表取締役社長、ビジネス・マーケティング・リサーチ・キャリアコンサルタント。NLP国際認定コーチ。アサヒビールマーケティング・インサイトコンサルタント。マクロミル顧問。P&GジャパンのCMK(Consumer Market Knowledge/消費者市場戦略本部)のヘッドとして執行役員を務めた後、ゲームメーカーや外食産業での広報宣伝本部長やCMO職を経て、2018年に独立。P&Gではファブリーズやレノアの市場導入を担当し、カテゴリー市場規模を約2倍に拡大したほか、トイレタリー、高級化粧品、食品・飲料、薬品など、幅広いカテゴリーの戦略立案を担ってきた。

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