データでは「売れない」ファブリーズ大成功の理由 消臭芳香剤市場を2倍にした商品の意外な真実
その理由を掘り下げていくと、「今まで聞いたこともない商品で、これがなくてもいままで十分幸せに生きているので、なくてもいいと思う」ということだった。当然、リサーチデータの結果から導き出された販売予測もかなり低い数値で、とうてい採算がとれそうには思われないものであった。
リサーチ結果をもとに決めるのであれば、ここで中止するのが妥当なのかもしれなかった。しかし、経営サイドは地域限定の「テストマーケットをする」という判断を下した。カナダと日本で地域を限定して、どうすればこの商品を市場に浸透させられるか、さまざまな試みをしていくことにしたのだ。
テストマーケットでもやっぱり売れない
テストマーケットを決めた背景として、「まったく新しい商品が世の中に浸透するには時間がかかる。だから、現時点では欲しいと思う人は少ないかもしれないが、この商品には、世の中を変えられるようなポテンシャルがある」という信念がP&Gにはあった。
テストマーケットの実施には、どうすればこの商品の使用を習慣化させることができるのか、どうすれば世の中に浸透させることができるのか、それを実際に売りながら調べていく、という目的があった。
テストマーケットの実施は、一種のリサーチとして位置づけられていた。赤字が生じても、それは研究・開発のための投資と考えるという経営判断が下されたのである。
実際、テストマーケットで売り出してみても、なかなか売上げは伸びなかった。その意味では、リサーチ結果から導かれた販売予測の通りではあった。
とはいえ、リサーチとしてのテストマーケットである。「やはり予測通り売れなかった」で終わらせるわけにはいかなかったのである。
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