データでは「売れない」ファブリーズ大成功の理由 消臭芳香剤市場を2倍にした商品の意外な真実
最近では「ビッグデータ」という言葉が当たり前のように使われ、ざまざまな場面でリサーチによって大量なデータが収集され、分析されている。専門の調査会社やコンサルティング会社に依頼している企業も多い。
社内で実施するにしろ、外部に依頼するにしろ、リサーチやデータ分析には多く労力と多額の費用が使われているわけだが、リサーチ結果やデータ分析は果たして有効に使われているのだろうか。リサーチやデータ分析が専門ではないビジネスパーソンの中には、結果とそれを得るための時間、費用を知って、「もったいない」と感じた方もいるのではないだろうか。
社内で実施するにしろ、外部に依頼するにしろ、リサーチやデータ分析には多く労力と多額の費用が使われているわけだが、リサーチ結果やデータ分析は果たして有効に使われているのだろうか。リサーチやデータ分析が専門ではないビジネスパーソンの中には、結果とそれを得るための時間、費用を知って、「もったいない」と感じた方もいるのではないだろうか。
元P&G執行役員、現在はコンサルタントの米田恵美子氏は「もったいない」リサーチやデータ活用が、実際かなり多いと指摘する。その米田氏が、この度、『「専門家」以外の人のためのリサーチ&データ活用の教科書』を上梓した。今回は、消臭芳香剤市場を活性化し、市場規模を2倍に押し上げたヒット商品であり、「それまでは世の中に存在しなかった」消臭芳香スプレーのファブリーズにリサーチがどのように活用されていたかを見ていく。
データ・ドリブンの経営は本当に正しいのか
私は20年以上、P&Gに勤務し、リサーチやデータ分析を、商品開発や新たなマーケティングプラン、ブランド戦略、経営戦略に活用していく役割をもつCMK(Consumer Market Knowledge/消費者市場戦略本部)という部署に所属していた。最終的には執行役員としてCMKを率いて、P&Gジャパンの継続的成長の一翼を担った。
このように書くと、「データ・ドリブン(データに基づいた)」の経営の信奉者のように思う読者の方がいるかもしれないが、決してそうではない。データに振り回されるようでは、大ヒット商品やイノベーションの芽をつんでしまうこともある。
リサーチの結果、データ分析の結果が悪くても「実行する」という決定が下ったケースとして、ファブリーズ発売時の事例を紹介しよう。
世界初の消臭芳香スプレー「ファブリーズ」が開発されたきっかけは、P&GのR&D(研究部門)担当者が「サイクロデキストリン」という原料と出会ったことであった。
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