「会社に属さず働く人」、大抵の人が知らない現実 雇用スタイル変化に日本企業はどう対応できるか
・アメリカ……ウーバーテクノロジーは、料理宅配やライドシェアの運転手に対して、最低収入を保障する取り組みを開始している。また、食料品宅配大手のドアダッシュは配達員の一部をフルタイムの正社員として雇用する方針を発表している
・シンガポール……首相が演説の中でギグワーカーを含めた低賃金労働者の環境改善を主要なテーマとして掲げ、改善に向けてスタートしている
・ EU(欧州共同体)……料理宅配やライドシェアといった仕事を手がける個人事業主の不安定な労働環境を改善する方向で改善を進めている
この中で注目されているのは、EUの動きで「ギグワーカーなのか」それとも「正式な従業員なのか」を判定する基準を設けていることだ。いくつか条件がある。簡単にまとめると――
① 報酬の水準を設定していること
② 電子的手段で労働状況を監督していること
③ 労働時間、休暇取得の自由を制限していること
④ 服装や行動に対してルールを設定していること
⑤ 第三者のために働くことを制限していること
これらのうち2つでも合致していれば「従業員」として認定される。約410万人が対象になる可能性があるとしており、企業側の負担は税金や社会保険料の負担の増加で、その金額は最大で40億ユーロ(5200億円)になると試算されている(日本経済新聞、2021年12月10日朝刊)。
「横断型労働組合」への転換が日本経済を強くする?
ここで大切なことは、日本もギグワーカーの存在をきちんと守ることで税収が増えたり、社会保障負担費が軽減されたりするというメリットがあることだ。日本は、今のところギグワーカーを含むフリーランスを自営業者としてくくり、フリーランス保護のガイドラインを、2021年3月に制定しているが、最低賃金や雇用保険等は依然として適用されていない。
企業側の反対があるためだが、こうした部分を企業側に忖度せずに法案の制定ができることが重要だ。今後、財源が枯渇する懸念がある社会保障制度の改善も含めて、大局的な姿勢が今の日本には抜けているのかもしれない。
先にも触れたが、日本の最大の問題は労働組合のあり方であり、単一の企業単位で組成されている労働組合を、業種別の労働組合に転換していくことが重要だ。「横断型労働組合」への転換が日本経済を結局は強くするのではないか。
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