「会社に属さず働く人」、大抵の人が知らない現実 雇用スタイル変化に日本企業はどう対応できるか
人口減少以外にも、新卒一括採用は大きな危機に直面している。新型コロナウイルスによっても明らかになった社会全体の「デジタル化」の進展だ。ギグワーカーの登場も、ネットの発達によって生まれた新しい働き方であり、賃金コストを抑えられる方法のひとつとして、企業もその活用に積極的な姿勢を示している。
ちなみに、フリーランスとギグワーカーのどこが異なるのか。一定の特殊な能力を持ち、企業のニーズに応えられる人材がフリーランスと言える。一方のギグワーカーはデリバリーの配達員や単純作業など、誰もができる仕事を単発、短期間で受ける労働者と言える。
日本でも、タクシーなど法的にライセンスとして守られている業種を除いて急速に普及している。飲食店のデリバリーだけを見ても、「ウーバー・イーツ」を始め「出前館」などの国内業者、「ドアダッシュ」といった海外企業など数多くが市場に参入している。問題は、欧米と違って労働者の権利意識が低く、日本ではギグワーカーに対する支援システムがいまだ何も決まっていないことだ。
「ジョブ型採用」「通年採用」への転換進める日本企業
日本で新卒一括採用など独特の雇用システムが定着したのは、歴史的な背景があると言われている。その起源は太平洋戦争中の「産業報国会」と呼ばれる企業別の全員加入の労働組合がそのルーツとされる。戦後の民主主義が定着していく中でも、この企業別労働組合が存続したために、終身雇用制が定着し、新卒一括採用も普及。同時に年功序列型の雇用システムも定着していったと言うわけだ。
一方、欧米諸国では企業ごとの労働組合というスタイルではなく、複数の企業が労働組合を作り、企業間で格差のない労働条件を獲得するために労働組合づくりが行われてきた。日本の労働組合の場合、単一企業との労使交渉ではストライキなども限定的にならざるをえず、最終的には企業側に対して忖度せざるをえなくなる。日本の労働組合の組織率は戦後55.8%(1948年、厚生労働省「労働組合基礎調査」)もあったのに、現在ではわずか16.7%(2019年、同)に低下していることでも、日本の労働組合の弱体化がわかる。
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