なぜ「侍ジャパン」は、20万人集客できたのか

TV視聴率では見えない、日米野球の舞台裏

テレビ中継の視聴率(ビデオリサーチ調べ。関東地区)は第3戦の9.0%が最高と苦戦したが、集客は5試合で19万5228人(1試合平均3万9046人)と上々。「強化」という点でも大リーグ選抜相手の日米野球としては1990年(4勝3敗1分け)以来2度目の勝ち越しは自信につながる。

「侍ジャパン常設化」で、すべてが変わった

侍ジャパン常設化の成果も出た。従来の日米野球とは、まずメンバーの選び方が違った。これまでは冠スポンサーの周知徹底という目的もあって、ファン投票を実施。オールスター同様に、各ポジションの最多得票選手(外野は3人)を選んだ上で、あとは監督推薦で決めた。

選手の日米野球に対する思いは千差万別。従来は温度差が激しかった。大リーグに興味のある選手は自ら売り込んでくるが、故障持ちの選手はオフに入ったらすぐ手入れをしたい。選ばれても辞退する選手が多かった。

今回は3年後のWBCをにらんで若手中心の選出。しかも小久保監督がシーズン中から各球場を回り、候補選手の意向や状態を十分把握した上で選んだ。だから後ろ向きな選手は1人もいない。チームは一体。メジャー使用球への対応など、個々にしっかり準備して臨んだからこそ、第3戦(東京ドーム)で則本(楽天)以下4投手によるノーヒットノーランという偉業も生まれたのだ。

20歳の藤浪(阪神)、大谷(日本ハム)が先発した第4、5戦は敗れたが、将来に向けての先行投資と思えばいい。この若さで今季両リーグ首位打者のホセ・アルテューベ(アストロズ)、ジャスティン・モーノー(ロッキーズ)やキューバ出身のヤシエル・プイグ(ドジャース)らと対戦できたのは大きい。

ちょうど10年前、2004年の日米野球を思い出す。史上最多7度目のサイ・ヤング賞に輝いたロジャー・クレメンスが来日。日本の代表選手全員とユニホームを交換した。「ロケット」の背番号22のユニホームを手にした投手のうち上原、松坂、井川、岩隈、五十嵐の55人がその後メジャーリーガーになった。デービッド・オルティス、マニー・ラミレス…。まだ駆け出しのミゲル・カブレラもいた。昨年のア・リーグ3冠王だ。彼らとの対戦が少なからず刺激になったのは間違いない。

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