ライフシフト遠い「変わらない国日本」の緩慢な死 不確実性が2乗、3乗になる家族&パートナー問題

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さらに、ほとんどの人は、自分が離婚することを予測などしていません。

内閣府の調査で「離婚する可能性があると思いますか」と聞いたところ、「そう思う」と回答したのは、たったの15%です(20-69歳既婚者対象、内閣府人生100年時代の結婚・家族研究会報告)。それも中年に多く、結婚したての人は、離婚の可能性などまず思わない。

高度成長期、人生70年時代を生きた人は、97%の人が結婚していて、離婚経験した人も10%しかありませんでした。しかし、寿命が延びると同時に、社会経済のあり方が変わり、人々の選択肢も増えました。離婚することがマイナスとは捉えられない時代になったとも言えます。

ただ、自分にとって離婚による社会的ダメージが減って、選択肢が増えたということは、同じように相手の選択肢も増えたということになります。つまり、自分が結婚相手として選択されない可能性も高まった、というわけです。

欧米人と日本人の違い

仕事についても同じです。日本人の大卒者で、普通に会社に就職した人のなかで、「自分が10年以内にクビになる」と考えている人は、ほとんどいません。しかし、日本よりも不確実性への適応が早い、欧米やアジアの新興諸国では誰もが、「今の会社にずっといられる可能性は低い」と思いながら働いています。

特に、ホワイトカラーがそう考えていますが、日本では、ホワイトカラーはほとんど転職しません。一方欧米では、どんどん転職しなければならないのはホワイトカラーで、ひとつの会社にずっといるという状態なのはブルーカラーのほうです。

欧米は、新しい経済状況が生まれる前から、何度も不況を経験し、その間子どもたちは、親が失業したり、離婚したりするのを見てきました。ですから、長寿化とともに不確実性が高まりつつある時代にも、少しずつ適応してきました。一方で日本は、この20~30年で一気に環境が激変したように思え、その変化の大きさについていけていません。

今の学生たちを見ても、いまだに大企業や公務員志向だなと思います。安心したがっている。女性が話す結婚相手の条件にしても、「ちゃんとした企業じゃないとね」とか「公務員なら安泰ね」など、親の世代の「安泰」を、当然自分たちも享受できると思っているのです。

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