ライフシフト遠い「変わらない国日本」の緩慢な死 不確実性が2乗、3乗になる家族&パートナー問題
日本では、3ステージの生き方に依存するのがおかしいと思っている人は、まだ一部でしょう。『ライフ・シフト2』で書かれているように、企業や政府がそれを変えるというのは、かなり難しいと感じます。
特に、企業の年功序列など、年齢による上下関係の意識がすごく厳しいですからね。アメリカでは、私が渡米した30年前でも、大学でいろんな年代の人が普通に学んでいましたが、日本は、そういったことは本当の例外です。ほとんどの人がまだ、3ステージの段階に沿って人生を生きていくのだと思っているのです。
女性が活躍できない日本
日本にとって、これは深刻な状況です。1980年代には「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と称賛され、1989年には、日本の経済成長率や競争力は世界最高峰だったものが、今では、先進国のなかでも下位のほうになっています。この30年で、現役世代の収入が低下していると何度も報道されていますね。
この30年間で少子化が進み、さらに、女性の社会への進出度は、先進国では最悪です。『ライフ・シフト2』には、日本では、女性が子どもを育てながらキャリアを維持するのはすごく難しいとも書かれています。男女共同参画の流れができれば、変わると思いますが、今は政府が切り込むしかありません。
しかし、そこが難しい。例えば私は、30年前から、税制における配偶者控除をなくそうと主張し続けていますが、何も変わっていません。解雇規制の改革も動いていません。正社員と非正規社員の待遇格差は、コロナ禍の影響もあり、ますます拡大していると感じます。私が新卒一括採用を根本的に見直さなければダメだという報告書を出したのは、もう20年も前です。
男女平等に向けての割り当て制も、ほとんど変わっていません。「女性管理職比率3割」という目標について、大多数の企業は「無理だ」と言っています。ある商社では、総合職は男性9割、女性1割。一般職は女性10割です。こんな状況で、どうやって女性管理職比率を3割まで上げるのでしょうか。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら