ライフシフト遠い「変わらない国日本」の緩慢な死 不確実性が2乗、3乗になる家族&パートナー問題

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ところが、レールに乗っているだけで就職でき、結婚でき、離婚もせず、人並みの生活を送りつつ、配偶者か子どもに見守られながら亡くなるという人生設計が、だんだん難しくなってきました。

そこで、「就活」という言葉が生まれ、私は「婚活」という言葉を作り、さらにはその後「終活」という言葉までできてしまったというわけです。

『ライフ・シフト2』は、こうした時代背景のなかで、どうやって人生100年の戦略を組み立てていくかという内容ですが、私の見るところ、日本人はそこが大の苦手です。

夫婦関係の不確実性

特に、日本人にとって最大の苦手となるものは、家族関係です。アメリカでは2組に1組、日本では3組に1組が離婚しています。「今の仕事が続けられるか」という前に、まず、「今の結婚が続けられるか」という状況があるのです。

『ライフ・シフト2』には、離婚したり、一人親になったりした場合にどうするか、どうなるかまでは書かれていませんが、そうした状況も人生の戦略に組み込まなければなりません。

夫婦について言えば、自分の人生とパートナーの人生、両方が不確実になっているのですから、不確実性が2乗になっていると言えます。「婚活」「就活」と言った時には、「結婚できれば大丈夫」「就職できれば大丈夫」といった含みがありますが、そうではない。

結婚後、就職後といった「その後」の戦略については何も考えていないという人がほとんどでしょう。

そもそも今は、結婚できるかどうかが不確実です。統計的に見れば、今の40歳未満のうち25%は、結婚しない一生を送ることになります。世代別に調査をすると、どの世代も95%の人が「結婚したいと思う」、もしくは、「過去そう思っていた」と回答しています。

つまり、結婚を前提に人生を組み立てようとしていた。しかしそのうちの25%は、結婚を実現できていないのです。

次ページ「離婚する可能性があると思うか」という内閣府の調査では
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