続いて、ANAの業績を見てみましょう。損益計算書(10ページ参照)によると、売上高は前の期より9.1%増の8548億円。売上原価が7.4%増えましたが、営業利益は33.8%増の579億円と順調に伸びました。
ANAもJAL同様、主に国際線利用客の増加が収益を押し上げました。さらに、ANAは羽田空港の国際線発着枠が増えたことで、ビジネス客を多く取り込んだのです。
JALが減益になった一方で、ANAが増益となった大きな理由は、ここにあります。ANAの羽田増枠は10便、JALは4便だったことから、国際線利用客の数に差が出たのです。
ただ、2社を比較しますと、利益率に大きな差があることが分かります。売上高営業利益率(営業利益÷売上高)を比較しますと、JALは13.6%と高い水準である一方、ANAは6.8%しかありません。これは、過去のコラム「JALとANAを分析する」でも解説したように、JALが破綻した後に徹底したコストカットとサービス向上に努め、有償座席利用率を高めたことが大きな理由です。
しかし、JALには有利な点があることを忘れてはなりません。同社は、破綻時に税制上の優遇や借金の棒引き、公的資金の注入などの措置を受けました。これによって年間450億円ほどのキャッシュ・フローの上乗せがあるとも言われています。その分、新しい航空機を買うなどの設備投資を行うことができますから、競争上、公正ではない部分があります。
逆に言うと、税制などJALが優遇された環境はいつかは終わりますから、現状の高収益水準を維持し続けられるかどうかは分かりません。
エアバス問題抜きでも、業績悪化に苦しむスカイマーク
スカイマークは、欧州の航空機大手エアバスとの間での、超大型機A380の購入問題が注目されています。スカイマークは国際線に参入しようとして、エアバスから6機のA380を総額約1900億円で購入しようとしましたが、業績が悪化したことで支払いが難しくなり、売買契約が解除されたのです。
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