もう一つ、注意点があります。「資産の部」にある「固定資産」のうち「建設仮勘定」に255億円が計上されていますね。これは、A380の前払い金だと言われており、違約金とは別物です。
これは、すでに支払ったおカネですから、この金額がキャッシュで出ていくことはありません。ただ、返還されないのであれば、会計上、損失を計上する必要があります。
さらに、これから違約金が発生すれば、こちらも損失を計上しなければならなくなります。当然、キャッシュでも出ていきます。今後の業績も心配ですが、違約金交渉の行方によっては、安全性が大きく損なわれる可能性があるのです。
A380、本当は購入ではなくリースしたかった?
スカイマークは、貸借対照表を見るとお分かりのように、資産合計が774億円という規模の会社です。それで総額約1900億円をかけて航空機を買おうとしたことは、かなり無謀な決断だったと思います。
同社としては、本当はA380を購入するのではなく、リースしたかったのではないでしょうか。「資産の部」にある「航空機材(純額)」は、わずか72億円しかありません。これは小型機1機も買えない金額ですから、交換用の部品しか保有していないと推察できます。つまり、スカイマークは、ほぼ全ての航空機をリースしているのです。
A380もリースしたかったのだと思いますが、この航空機は不人気機種なので、転売市場ではほとんど需要がありません。ですから、リース会社からリースすることができず、購入に踏み切ったのではないでしょうか。
これは、完全に経営上の判断ミスと言ってよいでしょう。買うとしても、せいぜい予備機を入れて2機程度に抑えるべきでした。身の丈に合った経営をすることが大切です。
A380は転売できませんから、エアバスとしては、是が非でも損害賠償を支払って欲しいわけです。エアバスは欧州を代表する航空機メーカーですから、日本政府としても、EUとの関係をにらみ、スカイマークには違約金を払って欲しいと考えています。
業績悪化とエアバス問題のダブルで苦しんでいるスカイマークが、どのような戦略をとり、そして解決の道を探っていくのか。今後の動きに注目です。
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