スカイマークは、なぜ「独り負け」なのか JAL、ANAの業績は?航空3社を分析する

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そこでスカイマークは、成田空港を発着する路線から撤退したり、運賃を値上げたりといった、大規模な構造改革を進めています。これが功を奏するかどうか、今後の業績に注目です。

スカイマークは、エアバス問題を乗り越えられるのか

先ほども触れましたが、スカイマークは業績の悪化だけでなく、エアバスとの違約金問題も抱えています。

損益計算書から特別損失を調べますと、たった3億円しか計上されていません。今は、エアバスとの間で違約金を減額する交渉を続けている最中ですから、この問題にかかる特別損失はまだ計上されていないのです。交渉の行方によっては、今後、ここに大きな損失が発生する可能性があります。

続いて、貸借対照表(4~5ページ)から安全性を調べてみましょう。自己資本比率(純資産÷資産)は、50.3%。安全性という点では、表面的には問題ありません。

ただ、注意したいのは「純資産の部」にある「利益剰余金」です。前の期は168億円あったのが、この期は110億円まで減少しています。四半期純損失を57億円計上したことで、その分が目減りしたのです。

もし、ここで数百億円単位の違約金が発生し、損失を出さなければならなくなりますと、利益剰余金がマイナスになります。場合によっては、債務超過に陥る恐れがあるでしょう。スカイマークはA380の購入問題がなければ、収益の問題はあるものの、貸借対照表的には健全なのですが、自社の資産や純資産の規模からみて、非常に大きな損失を被る可能性を持っているということなのです。

短期的な安全性を見るために、「手元流動性(現預金や有価証券などのすぐに売れる資産÷月商)」を計算しますと、0.6カ月分しかありません。大企業ですと、1カ月分あれば、通常のオペレーションを行う上では問題ないと判断されていますから、スカイマークの数字は低い水準だと言えます。業績悪化もあり、おそらく、ギリギリに近い状況で回しているのではないでしょうか。

一方、「負債の部」を見ますと、有利子負債がまったくありません。おそらく、今は銀行と借り入れの相談などをしているところではないかと思います。

ただ、A380の問題が決着しないと、銀行も貸出しには慎重にならざるを得ません。違約金が数百億円に上れば、破綻の懸念もあるからです。そして、営業段階で赤字を出している状況ですから、この先の資金繰りは今まで以上に厳しくなる可能性があります。エアバスとの問題に解決のめどが立つまでは、銀行は融資するのが「怖い」のではないでしょうか。

その点では、銀行から借り入れをするのか、社債を発行するのか、あるいは、第三者割当増資をするのか。資金調達の方法ももちろん、検討しているはずです。エアバスの問題がなくとも業績が悪化しているので、いずれにしてもファイナンスが必要です。

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