さらに、戦争終結後に行う「賠償金」の徴収も戦費の資金調達の1つと言っていい。もともと戦争を仕掛ける側の理論は、軍隊を使って占領することであり、その土地を自国の領土としてさまざま資源や金品などの資産を略奪するのが目的だ。むろん、敗戦したときには、占領されかかった国やその国を守るために戦った戦勝国に対して賠償金を支払うことになる。
日本も太平洋戦争で敗戦国となったため、一定の賠償金を支払っている。詳細は省くが、外務省の調査によると賠償金は10億1208万ドル(約3643億円)。そこに「中間賠償金」や「日本が放棄した在外財産」「賠償に代わる経済協力」「捕虜に対する償い及び私的請求権問題等の解決のための支払い」「戦前債務の支払い」「戦後処理の一環として締結された取り決め等に基づく借款」を合計して、「264億2864万ドル」(約1兆3525億円、1ドル=360円で換算)という金額が発表されている。
敗戦国の賠償金は当然か
賠償金は敗戦国になったのだから当然、という考え方もあるが、アメリカ、イギリス、オランダ、オーストラリア、カンボジア、ラオスは賠償請求権を放棄、または行使しなかった。ドイツは国土の半分をソ連によって分割されたうえに、最終的に支払った補償総額は671億1800万ユーロ(2009年、約8兆7253億円、1ユーロ=130円として計算)に達している。ちなみに、東ドイツはナチ政権の継承国ではないとして賠償を拒否している。
⑤ 外貨準備、特別引き出し枠、暗号資産を使う?
前述したように、戦時中はほとんどの国が国家予算をフル稼働して、さらに債券を発行して資金を調達する。しかも、海外から武器などを買うためには「外貨」や「金」が必要になる。つまり、国際市場で通用するマネーが国家予算から捻出できるかが問題になる。外貨準備として米ドルや金など、ある程度海外で通用する外貨準備が必要だということだ。
ロシアは、ロシア中央銀行が6300億ドル(約72兆7400億円、2021年末現在)の外貨準備を持っているのだが、GDPの4割にも相当する。ロシアは、今日のような日が来るとあらかじめ準備をしていた、と考えるのが自然だろう。実際に、外貨準備の内訳をみると、ユーロ:32.3%、ドル:16.4%、英国ポンド:6.5%、金:21.7%、中国人民元:13.1%となっている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら