ちなみに、今回のウクライナ侵攻でロシアが国債を海外向けに発行しようとしても、債券には「格付け」があり、欧米の大手格付け会社が一斉に格下げを実施。「フィッチ」「ムーディーズ」「S&P」の3社は、ロシアの長期外貨建債券の格付けを「B」「Ca」「CCCマイナス」(3月6日現在)に引き下げている。一気に6段階以上の引き下げで「投機的格付け=ジャンク債」にした。ジャンク債専門の投資家もよほどの勇気がないと買えなくなる。
少なくとも、同盟国以外の海外からの資金調達は簡単にはいかない、ということだ。今のところロシアの同盟国と言えば、ベラルーシや北朝鮮、中国といったところだろうが、中国以外は貧しい国であり、ロシアの債券を大量に引き受けてくれる投資家は中国以外にはいないはずだ。
ただ、ロシアはエネルギーや武器、食糧費をある程度は自前で生産できる基盤を持っている。プーチン大統領も、自前で賄える自信があるから暴挙に出たのかもしれない。しかし、戦争が長期化すればその目論見は外れてくる。ウクライナが抵抗すればするほど、ロシアは追いつめられるといっていい。
② 国家予算からの移転
例えば、日本の日中戦争から太平洋戦争時代の場合、一般予算とは別に「臨時軍事費特別会計」が作られ、そこから必要な資金を支出する仕組みができていたとされる。日清戦争から太平洋戦争が終了するまでの間、毎年莫大な資金が軍事費に移転されていたとみられている。詳しくはわかっていないのだが、特別会計からの資金の大半は、兵器を中心とする費用で、財閥系の大企業に割り振られたと言われている。
戦争にかかるコストも時代とともに変わる
そもそも戦争は、急に思い立ってできるものではない。少なくとも、戦闘機や軍艦、戦車、銃、地対空ミサイル、対戦車砲などなど、数多くの種類の武器を揃えなければいけない。そして戦争の中身も大きく変化しており、たとえば戦争別に兵士が使った銃弾の数を見てみると、その数は大きく変化している。戦争にかかるコストも時代とともに大きく変わっているということだ。実際に、2020年の軍事費の世界ランキングを見ると次のようになっている(出典:World Bank)。
2. 中国……2523億ドル
3. インド……728億ドル
4. ロシア……617億ドル
5.イギリス…………592億ドル
9.日本……491億ドル
やはり、アメリカが突出して多いわけだが、アメリカには軍需産業が数多く存在していることと関係がある。ロッキード・マーティン、ボーイング、ノースロップ・グラマン、レイセオン・テクノロジーズといった世界のトップ企業が肩を並べており、こうした軍需産業を存続させるためには世界中のどこかで兵器を使う必要があるのも事実だ。
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