(第39回)かつて世界を制覇した日本半導体産業の凋落


 日本企業の特性は変わらなかったのだが、80年代にはプラスに作用したその特性が、90年代からは逆向きに作用したとしか考えようがない。

実際、以下で述べるように、90年代に技術体系と世界経済の大きな変化が生じたのである。この変化は、半導体ビジネスに大きな変化を要求するものであった。それにもかかわらず、日本企業は、それまでのビジネスモデルを継続したのである。

日本企業の長所は短期的利益に左右されないことだと言われた。それはその通りなのだが、実は的確な長期的視点を持っていたわけでもなかった。単に市場の条件変化に反応しないというだけのことだったのだ。

先端的製品と低価格製品の両面で敗北

80年代から90年代にかけて、技術体系に大きな変化が生じた。それは、ITの登場である。これは、二つの要素を持っている。一つは大型コンピュータからPC(パソコン)への変化であり、いま一つは電話からインターネットへの変化だ。

DRAMにおいて日本が覇権をとったのは、大型コンピュータ用のものだ。ここでは、信頼性の高い製品が求められる。ところが90年代になって、PC用のDRAMの需要が増えた。これは大型コンピュータ用ほどの信頼性は要求されず、その代わりに、価格が安いことが求められた。

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