親のやせが「子の出生体重」に与える深刻な影響 20代の「5人に1人」がやせている日本の実態
やせ願望を抱き、ときに命に関わるようなダイエットをする子どもの深刻な問題について、こちらの記事(『小学4~6の3割超が「やせ願望」命にも関わる深刻』)で紹介した。実は子どもだけではなく、やせは大人、とくに20代女性に深刻な影響を与えている。
厚生労働省の国民健康・栄養調査によると、20歳以上の日本人の成人では、どの年代でも、男性4%、女性は11%程度がやせ傾向にあるが、20代に限るとやせの割合は2割以上にものぼり、5人に1人がやせているということになる。これは先進国の中でも高い水準だ(BMI18.5未満がやせというのが国際的な指標)。
10人に1人が低出生体重児
「やせている女性から生まれてくる子どもは低体重になる傾向がある」と指摘するのは、小児のやせについて臨床研究も行う福島県立医科大学附属病院小児科医の鈴木雄一氏だ。さらに、「低出生体重児は、将来生活習慣病などになりやすい」とそのリスクを説明する。
日本で生まれてくる赤ちゃんの約10人に1人が2500g以下の低出生体重児で、1975年には5.1%だった低出生体重児の割合はその後増え続け、2005年以降は9.5%前後で推移している(厚労省「人口動態統計」)。
厚労省の「健康日本21(第二次)」でも、若年女性のやせは骨量減少や低出生体重児出産のリスクに関連があることが示されていることから、妊娠出産への影響も懸念されている。
日本産科婦人科学会周産期委員会の委員長で、愛媛大学医学部附属病院の病院長でもある杉山隆氏は、「現在、全妊婦の約15%がやせで、肥満の人が10%程度。やせ、肥満とも問題があるが、やせの方は妊娠中のエネルギー摂取量が少なく、どうしても低栄養気味になり、低出生体重児の頻度が高くなりやすい」と言う。
肥満や妊娠中の体重増加は、妊娠高血圧症や妊娠糖尿病などにつながることはよく知られており、妊娠中に厳しい体重管理を強いられた経験のある人もいるかもしれない。そのため、健康な出産のためには、妊娠中は体重を増やさないことをよしと思っている人もいるかもしれないが、すべての人がその限りではない。
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