親のやせが「子の出生体重」に与える深刻な影響 20代の「5人に1人」がやせている日本の実態

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「生まれてからの環境がいい方向にマッチすれば疾患発症は上がらないが、ミスマッチすると、ぐんと拍車がかかっていく。『エピジェネティクス』(※)が近年知られるようになった。ニュージーランドのように、今後の少子高齢化を見据え、100歳まで元気で生きるためには、健康な状態で生まれてくること、そのためには子宮内の環境が大事だということを国策として取り組んでいる国もある」(杉山氏)

※エピジェネティクスは、個体発生や細胞分化の過程をはじめとして、重要な生命現象における必須のメカニズムです。エピジェネティクスの主要な制御機構は、DNAメチル化とヒストン修飾です。これらのエピジェネティックな修飾が、何らかの原因で変化すると、さまざまな疾病につながることがわかってきています。(国立環境研究所HPより引用)

とはいえ、過体重や低体重で産んでも、お母さんが悪いわけではない。経産婦のほうが初産婦よりも胎児が重く、女児よりも男児のほうが重い。同じ正産期でも37週と40週で生まれるのでは重さは違うし、欧米人と日本人では体格も違う。

BMIも少しずつ改善傾向

「お母さんの体格と低出生体重は関係するが、2500g以下が低出生体重児というのは万国共通。アメリカの平均出生体重は3300~3400gだし、北欧は3500g以上。北欧の2500g以下と平均出生体重3000g程度の日本の2500g以下では意味合いは異なる。あまり過剰に心配しすぎないで」と、杉山氏は妊娠中は食事摂取に関する支援の下、自分にできる限りのことをすればそれでよいという。

とはいえ、日本人女性のやせ願望は根強く、前述の通り「今まで食べてこなかった人に妊娠したから急に食べろと言って、食べられるようになるものではない」(杉山氏)。最近ではやせ願望の低年齢化が懸念されているが、その子たちが妊娠適齢期になった時に影響は出ないのだろうか?

「やせ願望が強すぎて食思不振症になったり、自分で吐いてしまったりすると、生理が来なくなって、妊娠しにくい体になってしまう。そういう意味では、小中学校の時にしっかりとした性教育とともに、しっかりとした食育を教育支援することも大切。わが国の栄養のバランスを考えた学校給食は誇るべきシステムといえるだろう。

マスコミやファッション業界も、やせすぎはよくないという方向になってきた。国も危機感を持っているので、低出生体重児も9%台で止まり、妊娠可能年齢のBMIも少しずつ立ち戻る傾向が出てきた」(杉山氏)

そうなってくると、やはり家族や母親の考え方も重要になってくる。小中学生がやせたいと言った時に、周囲の大人たちが「やせたほうがいい」と思っていては本末転倒だ。

自分の健康は、次世代の健康に影響を及ぼす。ダイエットを考えた時に、一度立ち止まり考えてほしい。

吉田 理栄子 ライター/エディター

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よしだ りえこ / Rieko Yoshida

1975年生まれ。徳島県出身。早稲田大学第一文学部卒業後、旅行系出版社などを経て、情報誌編集長就任。産後半年で復職するも、ワークライフバランスに悩み、1年半の試行錯誤の末、2015年秋からフリーランスに転身。一般社団法人美人化計画理事。女性の健康、生き方、働き方などを中心に執筆中。

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