多様化するセカンドキャリア、継続雇用、定年延長…先進企業に学ぶ人事制度

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多様化するセカンドキャリア、継続雇用、定年延長…先進企業に学ぶ人事制度

【ダイキン工業 継続雇用制度】

制度はよりシンプルに全部門でベテランが活躍

再雇用率83%--。エアコン世界2位のダイキン工業では、ほとんどの高齢者が定年(60歳)以降も同社で働いている。

ダイキンの「再雇用制度」(継続雇用制度、1991年導入)は、希望者全員が65歳になるまで働くことが可能だ。賃金体系も至ってシンプルで、公的年金などを含めた年収は一律540万円(定年前比でおよそ2割のダウン)。勤務形態は短時間や隔日勤務などもあるが、フル勤務(9時~17時30分)を選択する高齢者が多いという。

65歳以降も活躍できる道がある。専門知識や豊富な人脈を有する高齢者は、「シニアスキル契約社員制度」(01年導入)を使い、会社に残ることが可能だ。現在のシニアスキル社員はグループで約70名。最高齢者は72歳。中国での販売やISO(国際標準化機構)認証取得の推進業務など活動範囲は多岐にわたり、各部門に1人は配属されている。シニアスキル社員の賃金は個々契約によって違うが、基本的には64歳時と大きく違わない。

ダイキンが他社に先駆けて高齢者対応を進めたのは、必要に迫られてのことだった。それは、今から35年前の75年にさかのぼる。

「鬼」と呼ばれた男が楽な作業姿勢を追求

第1次オイルショックの影響でエアコン販売が激減し、主力工場である堺製作所の稼働率が急低下した。一方で全国販売網を構築していた時期でもあり、工場作業員1800名のうち600名を営業に配置転換することに。その異動は柔軟性のある若い社員が中心。新入社員を採用することもできない状況だったため、工場の作業員がやがて高齢化することは明白だった。

その際に、高齢化対応の責任者として抜擢されたのが、現・相談役執行役員の山田靖氏(77)。58年の入社以降、一貫して検査部門を渡り歩き、そこで鍛えられた厳格さから「鬼の山田」と社内で一目置かれていた人物だ。高齢化対応を含めた組織改革を求められ、74年に総務部の実質トップに就任。山田氏は「検査部門の時代から他部署の人員を巻き込んだ仕事をしてきたので、総務での高齢化対応でもそのスタイルを貫いた」と、当時を振り返る。

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