多様化するセカンドキャリア、継続雇用、定年延長…先進企業に学ぶ人事制度


 同氏は高齢者でも楽な姿勢で作業ができるように、無理な作業姿勢や重量物の取り扱い状況、階段昇降の実態など、高齢者が働くうえで障害となるものをつぶさに洗い出した。81年には高齢化対応のライン改善工事を終え、その後も多能化教育、技能伝承の仕組み作り、作業の自動化対応など、多くのプロジェクトを展開した。このように高齢化に対応した作業現場の改善や職場作りを行ったうえで、雇用制度の充実も図ってきた。

豊富な経験をフル活用 高齢者ならではの仕事

山田氏が長年、陣頭指揮を執ったかいあり、ダイキンではあらゆる現場で高齢者が活躍する。

今年2月からシニアスキル社員として働く柚木俊弘さん(65)もその一人。柚木さんは総務部で社史編纂を担当している。ただ、実際は「(過去の出来事や雇用制度などについて)何でも聞いてしまう」(20代の女性社員)と、部内の「知恵袋」のような存在。一方の柚木さんは「横から見ているほうが、物事がよく見える」と、若手社員の働き方が気になる様子。出世競争などから離れ、肩の力が抜けた時期だからこそ、的確なアドバイスができるようだ。

シニアスキル社員が、会社の経営者として出向するケースもある。油圧潤滑装置部品の加工・組み立てなどを手掛けるダイキンサンライズ摂津(特例子会社)の社長である應武善郎さん(69)と、取締役工場長の後藤金丸さん(69)は、二人三脚で会社経営に取り組んできた。

サンライズ攝津は社員総勢89名のうち82名が身体障害者や知的障害者。独自の舵取りが求められる難しい事業だけに、應武さんが社長として就任する前年の95年度は、9000万円の繰越損失を抱えていた。

だが、應武さんは大型空調機の部長として開発から製造、経理に至るまで統括していた経験を、後藤さんは農業機械から暖房機、ホットカーペットまであらゆる製品の組み立てに携わってきた経験をフルに生かし、経営を立て直す。99年度には繰越損失を解消。以降も業績を順調に伸ばしている。

「弱い社員をしかったらあかん。優秀な社員に厳しく接する」と、後藤さん。このように人の機微を巧みに察することができるのは、経験豊富な高齢者ならでは。應武さんは「(サンライズ攝津が順調であることを)周囲に認めてもらえることに、やりがいを感じる」と話す。

30年余りの時間をかけて高齢者の活用を進めるダイキン。それが生産の現場から働き方までを変えるきっかけとなり、企業の競争力にもつながる好循環を生んでいる。

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