多様化するセカンドキャリア、継続雇用、定年延長…先進企業に学ぶ人事制度


金銭面よりも決め手は必要とされる実感

富士電機システムズ千葉工場の変換装置部で働く牧野仁さん(61)も定年延長を選択した一人だ。

選択前は先輩から、仕事を辞めてやることがなくなり、かえって健康を害したといった経験談を聞いた。じっくり考えた結果、65歳定年を選んだ。

高年齢雇用継続給付と併せても、給与水準は延長前の約7割。休暇や健康保険などは従前と変わらない。「不満はゼロではないが、世の中で60歳以上の給与水準はもっと低い。十分ありがたい」。金銭面も重要だったが、決め手になったのは変換装置部の部長から「同じ業務で定年を延長してほしい」と言われたこと。希望者は全員延長できる制度ではあるが、必要とされる実感がなければ、手は挙げにくかったと振り返る。

現在の業務は、定年延長を選択する以前と同じ、産業用変換装置の出荷管理や現場での据え付けの手配など。千葉工場でこの役目は牧野さん一人なだけに、「後任の育成やマニュアル作りもやっていきたい」。

グループには81歳の熟練技術者(臨時社員)もいる。今年4月に統合した生産設備・金型の子会社では、技術伝承のため高齢社員を積極活用する。再雇用の受け皿とし、定年延長以外の選択肢を増やす狙いもある。

「意欲がある定年延長者には、海外勤務も考えていきたい」(矢座部長)。高齢者活用に向け、会社側はさらに先を見据えている。

(週刊東洋経済2010年10月2日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 晩婚さんいらっしゃい!
  • 野口悠紀雄「経済最前線の先を見る」
  • 新競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
  • おとなたちには、わからない
トレンドライブラリーAD
人気の動画
日本初、「工場を持たない」EVメーカー誕生の衝撃
日本初、「工場を持たない」EVメーカー誕生の衝撃
面接や説明会で採用者が嫌う「9つのNG質問」
面接や説明会で採用者が嫌う「9つのNG質問」
男性も入れる?新業態『ワークマン女子』の中身
男性も入れる?新業態『ワークマン女子』の中身
海外マネー流入!外国人に買われた日本企業20社
海外マネー流入!外国人に買われた日本企業20社
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
生前贈与がダメになる<br>相続の新常識

相続をめぐる環境が激変しています。年110万円まで非課税だった生前贈与が税制改正により認められなくなる可能性も。本特集では相続の基本から、よくあるトラブルと解消法、最新路線価に基づく相続税額、さらに生前贈与の将来動向まで取り上げました。

東洋経済education×ICT