得意技と必殺技・パナソニック対タニタの「活動量計」対決!《それゆけ!カナモリさん》

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 追われる立場となるタニタの戦略は、「コストリーダーシップ戦略」に対抗する「差別化戦略」に徹することだ。原材料の調達力やチャネル支配力に依存する販売量に劣るため、コストでは勝負できない。価格を下げるのではなく、機能を高めることで差別化を図るのである。つまり、リーダーが真似できない「必殺技」で対抗するのだ。

 パナソニックの「デイカロリEW-NK30」は恐らく、記事にあるような「アドバイス機能」を前面に出して、手軽に、しかしアクティブにダイエットに取り組もうという層を狙った展開を行うと思われる。手頃で試しやすい価格もそれを狙った設定であり、リーダー企業だからこそ実現できるものだろう。

 一方のタニタの「カロリズムスマートAM-121」はパナソニックの倍の価格妥当性をいかに消費者に納得させるかがキモとなるだろう。そのためには、「安静時を含む様々な場面でののカロリー測定機能」とその重要性を訴求し、それを必要とするターゲット層を絞り込み、活用方法の説明、メッセージを展開することにかかっているといえるだろう。

 同種のカテゴリーで全く異なるポジションの企業が、「得意技」と「必殺技」で戦う活動量計市場。パナソニック対タニタからは目が離せない。さらに、9月から医療機器メーカーでありながら一般向けには体温計・血圧計などで有名なテルモも市場に参戦した。どのような戦い方にでるのかも楽しみである。

《プロフィール》
金森努(かなもり・つとむ)
東洋大学経営法学科卒。大手コールセンターに入社。本当の「顧客の生の声」に触れ、マーケティング・コミュニケーションの世界に魅了されてこの道18年。コンサルティング事務所、大手広告代理店ダイレクトマーケティング関連会社を経て、2005年独立起業。青山学院大学経済学部非常勤講師としてベンチャー・マーケティング論も担当。
共著書「CS経営のための電話活用術」(誠文堂新光社)「思考停止企業」(ダイヤモンド社)。
「日経BizPlus」などのウェブサイト・「販促会議」など雑誌への連載、講演・各メディアへの出演多数。一貫してマーケティングにおける「顧客視点」の重要性を説く。
◆この記事は、「GLOBIS.JP」に2010年10月15日に掲載された記事を、東洋経済オンラインの読者向けに再構成したものです。
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