五感を駆使せよ、「寄る年波」に克つ記憶法 「あの人」の大量発生にどう立ち向かう?

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2つ目は、名付けて「ななまがりしっぷす」法。多くの方がご存知のはず、元素記号を覚える語呂合わせのあれです。「すいへいりーべぼくのふね ななまがりしっぷすくらーくか」。ひらがなだとまったくもって意味不明ですが、どこの学校でも常識のようにこれを教えています。実はこれ、きわめて合理的な記憶術です。

語呂合わせの利点は「記憶量の圧縮」と「イメージ化」です。元素記号を順番に覚えるとなると、水素、ヘリウム、リチウム……とたくさんのことを覚えなければならず、記憶量が圧倒的に多くなってしまいます。かなり多くの事項を「丸暗記」しなければならず、記憶するのが困難になります。それを「すいへいりーべ……」とすることで、記憶量を減らせるわけです。

次に起きているのは、「すいへい」は「水兵」、「ななまがりしっぷす」は「七曲シップス」と置き換えて、「七曲シップス」なる謎の船に乗っている水兵を、人それぞれに「イメージ」すること。無理やりにでも身近な概念に置き換えることで記憶が定着しやすくなります。

語呂合わせは自分で作るもの!

このように「記憶量の圧縮」と「イメージ化」のために語呂合わせは極めて有効です。ところが、自分で語呂合わせを作るのではなく、すでにある確立した語呂合わせを探そうとする人があまりに多い。おそらく、語呂合わせを作るのは難しいと思っているからでしょう。

ですが、語呂合わせを作るのは実は簡単。意味の固まりから頭文字の1文字か2文字を組み合わせて、適当な助詞を足していけば知っている単語に辿り着くことができます。そうして知っている単語を連続させて「記憶量を圧縮」し「イメージ化」していくのです。

私も今回の記事用に、新たに一つ作ってみました。司法試験受験生が覚えるのに苦労する、判例による「検閲」の定義。

「行政権が主体となって、思想内容などの表現物を対象とし、その全部または一部の発表の禁止を目的として、対象とされる一定の表現物につき、網羅的一般的に、発表前にその内容を審査した上、不適当と認めるものの発表を禁止する事をその特質として備えるもの」

こんなもの丸暗記できない、と思うでしょう? でも、読点ごとに頭文字を取り

「ぎょう(行政権・・)ししそう(思想内容・・)なその(その全部・・)たい(対象と・・)もう(網羅的・・)はっぴょう(発表前に・・)はふてきとう(不適当と・・)」

として短縮し、そのうえで

「凝視ししそうな、その体毛発表は不適当」

とすれば、覚える量は減るしイメージしやすいですよね。どんなシーンをイメージするかは、皆様にお任せ。想像力ですよ、想像力(笑)。

さて、2種類の記憶法を解説してきましたが、結局念仏も語呂合わせも、大事なのは恥ずかしがらずに、大真面目にやってみることです。考えてみれば、今回の記憶法自体は学生時代にも行っていたであろうものの応用に過ぎません。が、大人になると「恥のかき捨て精神」が不足してしまいがちです。

すべては試験突破のためです。余計なことは考えない、ピーターパンのような心が効率のよい勉強を実現します。暗記をクリアして合格への道をこじ開けてください。ではまた。

鬼頭 政人 資格スクエア創業者、弁護士

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きとう まさと / Masato Kito

1981年生まれ。開成中学、開成高校を特別優等の成績で卒業後、東京大学文科1類(法学部)に現役で合格。同大学法学部卒業後、慶應義塾大学法科大学院に現役で進学し、同大学院在学中に司法試験に一発合格。司法修習を経て都内の法律事務所に弁護士として勤務。ベンチャー企業を多面的に支援したいと考え投資ファンドに転職した後、22013年12月に資格試験対策をオンラインで提供する「資格スクエア」を創業、その後、ワンストップ電子契約サービス「NINJA SIGN」(後にfreeeサインと名称変更)も創業。著書に『東大合格者が実践している 絶対飽きない勉強法』など。

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