超格差社会を生き抜くNY式エリート育成法 米国の所得の2割は1%の超富裕層が握る
国の全所得の2割をトップ1%の超富裕層が握る米国。残り99%の層との間では超格差が生まれている。かつては出身地や人種、宗教などにかかわらず、「努力すれば生活は向上する」というアメリカンドリームが信じられてきたが、今の米国では「生まれた地域と、大人になってからの生活水準の相関性が高まっている」(ハーバード大学経済学部のローランド・フライヤー教授)。こうした中、教育の重要性はかつてないほどに高まっている。
その中でもニューヨーク、とりわけマンハッタンの親たちは教育熱心だ。地元に住む2歳半の息子を持つ30代の女性によると、「自分はあまり気にしていなかったが、親同士で集まるとプリスクールの話になる。自分も薦められるがままにプリスクールの願書セミナーに出席したことがある」。
結局、金融機関に勤める夫の両親の意向もあって、マンハッタンにある名門プリスクールの一つに願書を出し、無事合格。9月から週2回、午前中数時間程度プリスクールに通うようになった。学費は年間約1万4000ドル(約147万円)だ。この女性は「幸い息子は楽しそうに通っている」というが、ニューヨークのエリート校ではどんな教育が行われているのだろうか。
子どもの才能を引き出すカリキュラム
ニューヨーク・セントラルパークのすぐ脇、マンハッタンの西89丁目にその学校はある。ドワイト・スクール。今年開校143年のニューヨーク屈指の名門私立校だ。生徒数は2歳児~高校3年生まで約850人。3~6歳時までのプリスクール(週5回)が年間3万4900ドル(約366万円)、幼稚園が同4万400ドル(約424万円)、小学校から高校3年生までが同4万1600ドル(436万円)と、米国の有名私大並みである。
レンガ造りの家が並ぶニューヨークの住宅地にあるドワイト・スクールに着くと、ダイアン・ドリュー校長が迎えてくれた。実は日本の公立校や韓国、インドネシアなどでも指導経験があるという国際派だ。「この学校が設立された目的の一つは、当時教えられていたギリシャ語、ラテン語、数学の以外の教科を教えるなどそれまでの学校とは違うカリキュラムを提供することを目指していた」とドリュー校長。1970年代には他校に先駆けて、インターナショナルバカロレア(IB)の認定校となるなど、生徒に国際感覚を身に付けることに力を入れてきたのも特徴だ。
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