超格差社会を生き抜くNY式エリート育成法 米国の所得の2割は1%の超富裕層が握る

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テストの点数だけがすべてではない(ドワイト・スクール提供)

名門校に入れるのはどんな子ども?

マンハッタンの一流校に入るにはどんな準備が必要なのか。中には1時間250ドルの両親用カウンセリングのサービスもあるというが・・・。

「プリスクールについてはテストの点数ではなく、ほかの子どもとどどうやって遊んでいるのか、に重きを置いて見ている。たとえば、グループで作業をすることができるか、歌を歌ったり、お遊戯をしたり、何かを作ったりできるか、などといったことを見ている。同時に私たちは子どもたちだけでなく、親もドワイトのコミュニティの一員として見ているので、子どもの成績や成果に上下があろうと、学校に熱心にかかわって『家族』のメンバーになれるのかどうかを見ている」(ドリュー校長)。

実際、ドワイト“ファミリー”は学校行事の参加に積極的で、平日であっても母親だけでなく、父親も学校帰りに駆けつける。

一流教育を受けた生徒たちはどんな未来を歩むのだろうか。ドリュー校長によると、生徒は100%大学以上の教育機関に行く。中には「IBのカリキュラムはコミュニティサービスの精神を養うことに力を入れていることもあって」(ドリュー校長)、「ギャップ・イヤー」(大学入学資格を保持したまま1年間遊学できる制度)を利用して、アフリカの孤児院などでボランティアをする生徒も少なくないという。

大学に進学する場合、アイビーリーグに行くケースが多いが、アートやデザイン、ファッションデ系の大学に行く生徒も。さらに、IBは海外の多くの大学で高校卒業資格として通用するため、米国外の大学に行く生徒も少なくない。いずれにしても、「生徒の情熱が向く道へ導いてあげることが私たちの使命。私たちの仕事は単に彼らのテストの点数を上げてトップランクの大学に行かせることではなく、彼らが本当に好きで、成功できる道へ送ってあげることだ」(ドリュー校長)。

子どもの人格や才能を育てるだけでなく、教師や家族の“育成”にも力を入れる。ニューヨーク式の一流教育はそう簡単に真似ができるものではない。

週刊東洋経済2014年11月1日号(10月27日発売)の特集は「アメリカ 分裂する大国」です。オバマ大統領誕生の熱狂から6年。再び岐路に立つ米国。国中から聞こえる不協和音を奏でながら「強いアメリカ」はどこへ向かうのか。全60ページで取り上げました。
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倉沢 美左 東洋経済 記者

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くらさわ みさ / Misa Kurasawa

米ニューヨーク大学ジャーナリズム学部/経済学部卒。東洋経済新報社ニューヨーク支局を経て、日本経済新聞社米州総局(ニューヨーク)の記者としてハイテク企業を中心に取材。米国に11年滞在後、2006年に東洋経済新報社入社。放送、電力業界などを担当する傍ら、米国のハイテク企業や経営者の取材も趣味的に続けている。2015年4月から東洋経済オンライン編集部に所属、2018年10月から副編集長。 中南米(とりわけブラジル)が好きで、「南米特集」を夢見ているが自分が現役中は難しい気がしている。歌も好き。

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