エコに「ケッ」と思っていた私が考えを変えた理由 孤独から脱出し、日常が「意味あること」になる

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そしてこの巨大なシステムの中で生きる我々は、かなりの高確率でそのような感情にとらわれてしまいがちだ。でも私はもうそんな感情を抱くことはない。どんな大きなシステムに巻き込まれても、いくらでもある「自分にできること」を一つでもやればいいと知っているからである。その素晴らしい教訓を得たのは、この遠大なるエコチャレンジのおかげなのである。

効能その2 孤独からの脱出

はい、エコと孤独がどう関係あるの? と思いましたよねきっと。わかりますよ。でも関係大ありなのだ。この効能こそ、私が他のどんな立派な人生の目標よりも、エコに取り組むことが優れていると思う点の1つである。

というか、これがなければ私がこうしてエコ野郎であり続けていることはなかったかもしれない。

何しろエコな行動というものは大体において、いますぐ自分のトクになる行動というわけではない。むしろ「損」な行動である。例えばプラを減らそうとすれば買いたいものを自由に買うわけにはいかないし、包装紙のプラ部分と紙部分を一生懸命分けてゴミ分別を徹底したところで、誰が褒めてくれるわけでもお金がもらえるわけでもない。つまりはやればやるだけ時間とエネルギーを浪費し、暮らしにも制約を強いられる。

じゃあなんでそんなことするのかといえば、その「損」をかぶってでもやるだけの「報酬」があるからなんです。

それが、この「孤独からの脱出」だ。

もちろん私にも最初からそんなアイデアがあったわけではない。ふとしたきっかけでその関係に思い至り、以来、この発見の正しさを今も深く噛み締めつつグフフとエコライフを送っているというわけなのだ。

なので、まずはそのきっかけのことを書こうと思う。

私、先ほど書いたように「水の節約」にかなりの高いレベルで取り組んでおりまして、その元となるアイデアを思いついた時のことを今も忘れたことはない。そうあの瞬間こそは、私が「エコと孤独の深い関係」を発見した記念すべき時だったのだ。

それは、例のインド豪華旅行から帰国した直後のこと。日本で私を待っていたのは、退職にあたり少しでも家賃の安い家に引っ越さなかきゃならんという現実で、ようやく見つけた築50年近いマンションは、壁がシミだらけという外観はともかく、今どき見たこともないような「レトロ」な設備の数々は、これからの暮らしに不安を抱かずにはいられない代物であった。

中でもギョッとしたのが台所のシンクの排水口である。

これまで住んできた家では排水口の下がポケット状になっていて、そこに目の細かい専用のネットを取り付ければ食べ物のカスや野菜くずなどをもれなくキャッチしてくれた。

だがどこをどう見ても、そのようなものを取りつけるスペースがない! となれば、このままここでノホホンと料理したり食器を洗ったりしていたら、ごく近い将来水道管が詰まるという悲劇が巻き起こることは火を見るより明らかであった。

ううむ……これはどうしたものか。

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