資格取得を「リスキリング」と勘違いしている人へ VUCA時代こそ「汎用的読解力」で自分軸を持つ

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リスキリングといえば資格の取得というわけではないようです(写真:IYO/PIXTA)
人生100年時代、長く働くことに備えて、リスキリングの重要性が唱えられるようになってきた。14万部突破のベストセラー『ライフ・シフト』でも強調される社会人の学び直しと人生設計について、『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』『AIに負けない子どもを育てる』のベストセラーを持つ新井紀子教授はどう考えるのか。

リスキリングに必要な「汎用的読解力」

昨今、リスキリング(職業能力の再開発)という言葉が話題になっています。私はかなり以前から、リスキリングの重要性を指摘してきました。

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資格を取得することは、リスキリングの代表的な方法として紹介されがちです。しかし無目的にたくさん取ろうとすることは、コスパも悪く、リスキリングとは言えません。

ライフシフトにつながるリスキリングをするためには、30代半ば頃から、「自分はどういう人間なのか」ということを主観的にも、客観的にも固めていき、45歳ぐらいまでには、自分の強みや売りを自覚して、軸を持つことが大事です。

リスキリングを、「資格を取る」「セミナーを受ける」「友人を増やす」といったことだと考える人は、自分が誰なのかが見えていないのではないでしょうか。

私は、リスキリングのために最も重要な能力は「汎用的読解力」だと考えています。汎用的読解力は、文系・理系にかかわらず、初心者向けに書かれた事実に関する文章(教科書、新聞、行政文書等)を正確に読み解く力を指します。この力さえあれば、必要に応じてどんな分野も自学自習できます。教科書や新聞など基本的な情報源から、世の中の3年後、5年後、10年後を予測して考えることもできるでしょう。

つまり、見出しやキーワードではなく、本文を読んで、そこからどう演繹できるかという能力のことです。たくさんのセミナーに通ったり、ハウツー本や自己啓発書を手当たり次第に読んだりしなくても、本質的なことを自分で考えられる力とも言えます。

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