資格取得を「リスキリング」と勘違いしている人へ VUCA時代こそ「汎用的読解力」で自分軸を持つ

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たとえば、「連絡先は、30件だけ残す」と決めてみます。すると、どのつながりをあきらめるべきかについて考えるようになります。この人と会うのは、楽しさも含めて、損得でなく、自分がそこからなにか得られているのか、それとも単に浪費しているのかが見えてきますよ。

等身大の自分を知る

ただ、デトックスも、「デトックスしている自分」という幻想を抱くのはダメですね。

通信教育を受けたり、おしゃれなモノを手に入れることで、「素敵な生活」「ちゃんとした私」になった気分になってしまう人もいますが、それは「自分」を買おうとするようなものです。でも「自分」は、どこにも売っていない。

大事なのは、あなた自身が、あなたのことを知らなければいけないということ。売られている商品はあなたを知りません。あなただけの、あなたらしさでもない。パッケージされた「自分らしさ」を買いに行く時点で、人生の二毛作、三毛作は期待できません。それは、弱い心につけ込むパッケージ戦略なのです。

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ですから、まずは静かに「自分は誰ですか」を自らに聞いてみるということをしていただきたい。

そのためには、鏡を見て、等身大の自分を知ることです。鏡を見て、自分の姿をありのままに見るのは怖いことです。でも、自分がどの程度かをまず知ることは重要ですし、それがリスキリングのベースになります。

リーディングスキルテストの意義もそこにあります。読解力があるのか、ないのかを、本人も親も教師も知り、受け入れる。そこから始めることが重要なわけです。

歪まずに自分を見るためにも、デトックスして、リーンになる。そして、等身大の自分を見ることが怖くなくなることが、人生100年時代を個として連帯して生きることにつながっていくでしょう。

新井 紀子 数学者

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あらい のりこ / Noriko Arai

国立情報学研究所教授、同社会共有知研究センター長。一般社団法人「教育のための科学研究所」代表理事・所長。
東京都出身。一橋大学法学部およびイリノイ大学数学科卒業、イリノイ大学5年一貫制大学院を経て、東京工業大学より博士(理学)を取得。専門は数理論理学。2011年より人工知能プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトディレクタを務める。2016年より読解力を診断する「リーディングスキルテスト」の研究開発を主導。主著に『数学は言葉』(東京図書)、『ロボットは東大に入れるか』(新曜社)、『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』(東洋経済新報社)などがある。

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