「フルタイム勤務で手取り15万」26歳男性の困窮 少ない給与から「引かれ続ける税金」への不信

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この間、イチロウさんに「公助」の恩恵はあったのか。

最初に会社を辞めたとき、失業保険を受けるためにハローワークに足を運んだものの、「保険の加入期間が1年未満の場合、失業保険はもらえない」と説明された。コロナ禍で住居確保給付金の申請をしようとしたところ「シェアハウスは対象外」と門前払いされた。コロナ対策である10万円の臨時特別給付金に期待していたが、対象は住民税非課税世帯や子育て世帯に限定された。

「失業保険については僕の知識不足でした。でも、(コロナ対策については)若い単身者のことももう少し考えてほしい。僕たちの世代は年金も掛け捨てでしょうし……。3年間で100万円もの税金を払ってきたのに、見返りは(2020年に支給された特別定額給付金の)10万円だけ、というのが実感です」

「本当に苦しんでる人に寄り添った政治を」

高齢者や子育て世帯ばかりが優遇されていると感じているのだろうか。そう尋ねると、すぐに「そんなことは思っていません」という答えが返ってきた。世代間の対立の話にするつもりはないという。イチロウさんは「僕がいいたいのは、政治家には本当に貧困に苦しんでいる人のところにちゃんとお金を還元する政策を考えてほしいということです」と力を込める。

イチロウさんにいわせると、安倍晋三元首相の肝いりだった布マスク「アベノマスク」の配布や、不具合が相次いだ接触確認アプリ「COCOA(ココア)」の開発にあそこまでお金をかける必要があったのか疑問だという。そしてこう繰り返す。「本当に苦しんでる人に寄り添った政治をしてほしい」

たびたび政治に言及するだけあり、イチロウさんは選挙にはできるだけ足を運ぶという。若者の中には政治不信から「投票しても変わらない」と選挙に行かない人も少なくない。たしかに現在の小選挙区制度の下では死票になるリスクも高い。しかし、イチロウさんの考えは違う。

「僕は、選挙はまだましな政党や候補に投票する機会だと考えています。(死票になるからといって)選挙に行かない人が増えると、落としたい人を圧勝させてしまうことになりかねない。僕にとって投票は払った税金の見返りとして権利。昔の人が選挙権を勝ち取ってきた歴史を知っていれば、棄権する気になれないというのもあります」

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